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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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炊事の詩

thread
風は強し
身体を揺らしながら帰宅

もう誰もいないリビングの
テーブルにiPadを置く

鍋の蓋を開けると
昨夜に仕込んであったカレーが
すでに底が見えそうだ
ココナッツミルクをたくさん入れ
やさしい味になっていた
好評でなにより
こんなことで炊事父さんは嬉しい

私はカレーライスと
昨夜のおでんを突っつく
おでんはイマイチ不評なのか
明日の朝もおでんを食べることにしよう

そして明日はラーメン
汁を六人前煮込んで
キャベツともやしをひき肉とあえて炒め
おまけにニラと長ネギも入れ
具も硬めに仕上げておく
夏なら作り置きすると
冷蔵庫に入れないと腐ってしまうが
冬は蓋をして放置だ
寒いことも良いことがあるもんだ

明日も私は帰宅が遅いから
残された家族でラーメンを楽しんでくれ
ご飯もタイマー予約で炊いとくから
冷蔵庫にある明太子とかつまんでくれ

そして山になった汚れた食器
これを洗うことが私を成長させてくれる
愛は惜しみなく綺麗にして
明日のささやかな喜びに繋げる
父さんのもうひと頑張り

横になりiPadを両手で持ち
さらさらと夕飯作りの詩なんて書いている

やはり詩だけを書こうとして
詩は書けやしない
夕飯を作ったり食器を洗ったり
生活の証がそこにあって

今晩も炊事の詩を書けることに
幸せを感じながら
もう床が添い寝をしているのだから
私は眠ってしまいそうだ

#詩

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今日は晴れるって

thread
二月のどんより空
朝のゴミ出しに風がご挨拶
まだまだ寒いでしょ
と、冬の口からはき出され

天気予報では
今日は二十度まで気温が上がるとか
雲の切れ間さえわからない空
ほんとうだろうか
疑いの朝を晴らしてくれ
寒さに気負うことも忘れるから

あれれ
また布団の中に入って
どんより空を思い出しては
グレイな重さや
寒さを少し楽しむ自分発見したりする

学校をサボりたい子どものように
仕事をサボったらなんて考えてみれば
ちっとも変わっていない自分を発見したりする

あと五分
あと五分

どのタイミングでどんより空へ
また向かって行くのだろう

他人ごとのように考えながら
どんよりに支配されたくて……

ほんとうに今日は晴れるのだろうか

#詩

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詩/初

thread
初の詩人会へ。
初めて詩人たちに会う。
そして、初めて人前で自作の詩を朗読。

まあ、読めた。
たぶん詩の内容は伝わったと思う。

会が終わり、トイレへ。
便器の隣りに貫禄ある詩人。
「良かったよ、詩」
初めて口頭で詩を褒められた。

「出だしの2030年、っていうのがいい。
みんな過去ばかり詩にする。
ああ、俺も未来の詩を書くんだよ」

詩人たちの打ち上げに初めて参加。
前、右、左、後ろ、みんな詩人。

「俺は詩の話なんてしない」
と言っていた詩人、だが、ほとんど詩の話だった。
初めて聞く詩人の詩の話。

なんだかんだ言って、みんな詩が好きみたいだ。

いるんだ、詩人。
いたよ、詩人。

そして、四月に『詩の虚言朗読会』へ。
初めて聞く詩のライブを楽しみにしている。

詩人との交流、めちゃ楽しいぜ。

#詩

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拒絶の詩

thread
伝えたいことを
伝えるようとする
靄がかかっていても
詩表現の景色ごと
覗くことができればよい

詩は自由に表現してこそ
文藝の世界だとは思うが
最近、妙に引っかかる

クイズのような詩が
俺に拒絶を膨らませては
溜息をつかせている

#詩

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追いかけて来る

thread
村に偏見のある時代
俺はいつも追いかけられていた
泥を投げられ、石を投げられ
人間の底の底

村で何か起きれば
全て我々家族が悪くて
違うなんて言えない
頭を下げることで受け容れれば
我が家になんとか仕事は与えられる

子どもの頃は
毎日のように村人に追われ
俺は頭がイカれたふりをして反発せず
なんとか生きていけた

いつも追いかけられ
現実も夢の中でも
村人が俺を追いかけて来る

ある日、村で火事があった
村人は俺が犯人だと追いかけて来た

腹を括った
「俺がやった!」

これで俺は村人にやられ
やっと死ねるんだと
しかし、犯人は誰かだということは
村人は知っていたのかもしれない

俺は死ねなかった

村人は追いかけて来る
陸にいる限り追いかけて来る
村人が追っては来れぬところに行こう
そう考えるようになった

大人になった、時代も変わった

俺は漁師になった
海には村人が追いかけて来れないと考えたから

やっと自由になった
と、思った途端に不安が襲って来た

追いかけられた中に
安心を育んでいたことに気づく

俺はもう追われていなければ
生きてもいられない人間になっていた

追って来る者のいない恐怖
正常な社会を知らぬ俺は
もう生きている場所が見えなくなった

今、船は揺れ
波が俺を誘っている

さあ飛び込め、楽にしてやるぞ

海が追いかけて来る
どこまでも海が追いかけて来るが
俺はまだ生きている



(先日、ある方の話を聞き詩にしました。内容は少し違うモノになっています)

#詩

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ふあふあ

thread
ちょうど真ん中あたりにいるようだ
それもなんとなく、そんな感じで

私は良い人なのか悪い人なのか
ちっともわからないけど
まあ、どうでも

右へ進んでいるのか、左へ進んでいるのか
それとも進んではいないのだろうか
まあ、どうでも良いことはどうでも良い
そういうことでどうでも良い

何のための何さえ思い出せず
何となくふあふあしている

ああ、わかっていることがあった
ふあふあしている

わからないことばかりだけど
それが今はどうでも良さそうな感じ
ふあふあ、ふあふあ、ふあふあ

ふあふあしている……

……あれれ、誰かが何か言っている

「お客さん、終点ですよ」

#詩

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超越の微笑み

thread
二十五年前のこと
母が入院して抗がん剤治療をしていた
介添えのために病室へ顔を出すと
苦しい筈なのに息子の私を見て微笑む

私は入院で必要な物品を買いに
地下の売店へよく行った
その時に両足のない青年が
車椅子で来店する姿を目にした
太ももには包帯が巻かれている

彼は店員さんに
「こんにちは」と言って微笑んでいた
とても足を失ったばかりの表情ではない
自分にさえ憫然たる心もちであろうに……

自分がその状況だったら
あの振る舞いができるだろうか
いや、そんなことは到底無理だ


それから四ヶ月が過ぎた……

母の抗がん剤による副作用は凄まじいものだった
髪の毛は抜け、爪はボロボロになり
口の中は荒れて穴があき
痩せこけて震える手でご飯を食べれば
涙のように零れていた
母は死に物狂いで抗がん剤と闘っていた

そして、彼を久しぶりに売店で見かけた
ああ、また入院しているんだ
そう思った矢先に気付く

車椅子に乗る彼の右手は切断されていた

現実はこんなにも残酷なのか
彼が何をしたって言うんだ

それでも左手一本で病室から車椅子を漕ぎ
地下の売店まで自力で来ていたのだ

店員がお買い物袋を差し出すと
「ありがとう」
その声は可哀想という言葉も
寄せ付けない明るさをもって微笑んでいた
いったい何がどうすればこうなるのだ

私はもう自分の存在すら怪しくて
生きていることが恥ずかしくて狼狽え……


母は抗がん剤治療を半年間耐え抜き
地獄のような日々に終止符を打つ
どれだけの苦しみの山だったのだろう
本人でないと越えた辛さは分からないが
私も退院の日には自ずから涙が流れた

母の入院を通し確信したことがある
綺麗事を言っていると罵られてもよい

人間は強くて美しくなれるんだ

苦しみに立ち向かいながらも
微笑みのある逞しさ
それは超越と出会う出来事だった

今も八十歳になる母は生きている
彼もきっと何処かで生きているに違いない

あの美しい微笑みたちは
優しく永遠の輝きを放ちながら
私に生きている意味を明証し続けている

#詩

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石垣りん さんの朗読

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ツイッターをしていると、
石垣りんさんの朗読をしている動画に出会う。
いいな、自然に朗読している。
しかも上手で聴いていてとても情景がわく。
そしてやさしい声。
めちゃ上手い。

感情を素直に表現する。
勉強になりました。

こちら、石垣りんさんの朗読されている動画。

https://youtu.be/562vKe0tTkQ
#詩 #雑記

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潜在的衝動

thread
潜在的衝動



我が身のように感じながらも
握り潰したい衝動に駆られ

だが壊れた夢を描くのは
決して悪の華でないことを
私は知っているのだ

それは生まれた自然と朽ちてゆく
必然があるのだから
今さら驚くことではない

それを真実の美しさという

社会の道徳では
埋めきれない運命の先天的生物感

立って倒れる
その過程には組み込まれた
超自然が主軸となって色褪せて

握り潰す
美しい心象を求めてしまう

手のひらで一生を粉々にする
完結したい人間の潜在した衝動

自分の一生を握り潰したくて
傍観する人間社会に
手の震えが止まらない日々

#詩

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むずいっス、詩の朗読。。。

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今朝、詩の朗読練習をする。

詩を書くことと詩を朗読することは、脚本家と俳優の違いほどあるような気がする。そんなことを言っても芝居の世界は知らないのだが、目で文字から入ってくる感覚と耳から入ってくる感覚とでは受け入れ方も違う。表現技術や感性によって表現された作品の捉え方に差が出てくる。詩を書くだけではなく詩を朗読をし、表現できて詩人と言えるのかもしれない。私にとっては詩の新しい分野に出会った刺激になるものだった。

何を言いたいかというと朗読は難しい。詩を書くのと同じように。そして、詩の朗読初心者である私は、とてもとても人様の前で読めるほど上手くはない。ただの下手くそだ。

間、感情の入れ具合、緩急、強弱、声の大きさ、高さにそれぞれの加減。
考えたら読めなくなってしまう。ああ、明日は朗読会があるというのに……

しかし、開き直りの哲学というものがある。べつに上手く気持ちも移入し、読めなくても真面目にやれば良い。これは逃げていると言われればそうなのかもしれないが、「だってしょうがないじゃない♫」って感じだ。えっ、どんな感じだよ。と、突っ込みを入れられそうだが、そんな感じだ。

というわけでもう少し朗読の練習をしよう。それと私は父親譲りで「ひ」と「し」の使い分けが怪しい。それと「さ行」の滑舌が悪い。そのへんから、修正して行こう!

やるしかないな。。。
#詩 #雑記

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