著者は日清食品の2代目オーナー<安藤 宏基>さんです。 第1章・ 安く作って安く売って儲ける 第2章・ マーケッテイングはアートである 第3章・ 世界を制す、ニッシン・ドットコム 日本人社員にとって最大の異能はやはり外国人である。 そう思ってここ数年、多くの外国人留学生を国内で採用してきた。 ところが日本に来ている留学生はお金持ちの子弟など家庭的に恵まれた人が多い。 学業優秀な優等生タイプで、日本人組織にもすっとなじんでしまう。 波風を立てるところまでいかない。 そこで,いっそ海外で採用した外国人を日本に連れてこようと方向転換したのである。 提案した女性の人事課長がアジア各国に飛んだ。 ミッションは<ハングリーな奴を採ってこい>だった。 小さいころに親を亡くした人。 貧しい家庭で育ちながら、苦労して大学に進学した人など、恵まれない人生を送り、強い出世欲や経済的自立心を持った人材を探すことにした。 四百人近い応募者から二十人を日本に連れてきた。 その中から九人に絞り、私が最終面接をした。 驚いた。 目がぎらぎらとして、何も言わなくても熱意が伝わってきた。 素朴で正直である。 久しくこういう人間のエネルギーにぶつかったことがなかったので感動した。 全員を採用した。 三か月後、全員が役員会で紹介された。 自己紹介は日本語だった。 全員がほぼ完ぺきな日本語で話した。 これには驚いた。 彼らは自分のキャリア作りのために必死で能力を高めようとしているのである。 あわてたのは同僚の日本人社員たちで、負けずに英会話に励むようになったというから、刺激策は功を奏している。