《雅羅・/・襍〝里緑地の花Ⅴ〟❖ ’24-257 ❖》

メドハギ(蓍萩)マメ科(Fab... メドハギ(蓍萩)マメ科(Fabaceae)
学名: Lespedeza cuneata (Dum.Cours.) G.Don var. cuneate
メドハギ(蓍萩);多年草
日本全土の日当たりのよい草地や道ばたに生える。
茎は高さ0.6〜1mになり、やや木質化し伏毛がある。
茎は直立してよく枝分かれし、枝... 茎は直立してよく枝分かれし、枝に沿って密に3小葉がつく。
小葉は長さ1~2.5㎝、幅2~4㎜の楔形~倒披針形、裏面には白色の伏毛がある。
花は葉腋に数個ずつつき、黄白色で長さ6~7mm、旗弁に紅紫色斑点がある。
閉鎖花も葉腋に数個ずつつき、豆果は主に閉鎖花から出来る。
萼歯は1脈が明瞭で先が鋭く尖り、萼の基部に短い小苞がある。
閉鎖花から出来た豆果の萼歯は普通の花から出来た豆果のものより短い。
豆果は長さ2.5~3.5㎜、幅約2.5㎜。疎らに毛があり1種子が入り熟後でも列開しない。
変種にハイメドハギ( var.... 変種にハイメドハギ( var. serpens  (Nakai) Ohwi.)がある。
地を這うように生え旗弁全体と花弁の先が紫色になる。蕾が紫色に見える。
土留めなどで輸入種子が使用され類似種が混入している。外来種は葉脈が網目状。
絶滅危惧種のサガミメドハギ(Lespedeza. hisauchii )はオオバメドハギに似てる。
小花柄に腺毛があり、葉両面に毛がある。
*神奈川県植物誌*
メドハギ;
多年草.茎は直立して,高さ 1m に達し,茎に沿って密に葉をつける.
花は葉腋に集まってつくが,淡黄色の花弁のある花と,花弁のない閉鎖花がある.
旗弁にはふつう紫斑があるが,まれに欠くものもある.
豆果はおもに閉鎖花から熟し,その萼裂片は 1 脈で,先端は豆果より明らかに短い.
豆果の表面はごく疎らに短毛が生える.
北海道,本州,四国,九州,琉球;東アジアに分布する.
川原や草原に生える.県内では山地の高所を除き広く分布し普通.
ハイメドハギ Lespedeza cuneata (Dum.Cours.) G.Don var. serpens (Nakai) Ohwi ex Shimabuku
葉や花などはメドハギと同じだが,茎は基部から倒れて地面を被って広がる.
花は基本種よりも紫色の部分が多い傾向がある.
茎の毛はメドハギと同様に伏すものと,
開出するもの(ケハイメドハギ L. serpens Nakai form. hirta Hiyama)があり,
後者の方が多い.県内では沿海地方を中心に広く分布するが少ない.
海岸砂浜や海岸近くの芝地や草原に生える.



《 里山緑地の花〝メドハギ(蓍萩)〟 ❖ 8月下旬~10月上旬 ❖  》
メドハギは、荒れ地にも生育する生命力が強いマメ科の植物.
夏から秋にかけて白い花を咲かせるが、小さな花過ぎて見向きもされない。
古く、茎を束ねて「めどき」と呼ばれ占いの道具に用いられた。名前の由来。
血糖値を下げる働きや、天然のバイアグラと呼ばれる強壮作用、美白効果等々、
民間薬として古くから用いられており、近年注目され始めている由。
秋の七草も薬草になる。 ハギ、... 秋の七草も薬草になる。

ハギ、ススキ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、キキョウ。

「春の七草は食べるもの、秋の七草は鑑賞するもの」
こんな認識が一般的であったようだが、秋の七草は、立派な薬草。
ハギはやや痩せた土壌、日当たりのよい乾燥したところを好む。
七草の中でハギは唯一の「木」。
昔からハギの根を煎じて服用し、めまいやのぼせに効く。
熱冷まし、肺を潤すともいわれてきた。
だが、漢方薬の生薬には含まれておらず、成分の解明もされてはいない。
花の咲く時期に、直径数mm程度の枝を下のほうから刈り取る。
刈り取り後、葉も枝も含めて数cmに切り刻んで乾燥させ使用する。
乾燥した葉や茎を煎じてハギ茶とするが、バランスが難しい。
しかし、独特の香りと味がよい。すっきりした気分になる。
昨今、日常生活近くの環境で里緑地(里山)は機材を使い全面草刈り。
又は、伐採等を行わない故、フジバカマとキキョウは、絶滅危惧状態。
里山の景観において、袖群落・マント群落が消えつつある現況に危惧感を持つ。
画一的貧化で植物の減少、又は上手に利用するノウハウも消失しつつある。
日々の暮らしの中で自然環境との共生を考える必要がある、と痛感する。

こんな薬的なものまで市販されて...
こんな薬的なものまで市販されている。


「令和陸年(皇紀2684年)9月13日、記」


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《雅羅・/・襍録〝里緑地の花Ⅳ〟❖ ’24-256 ❖》

イヌハギ(犬萩)マメ科(Fab... イヌハギ(犬萩)マメ科(Fabaceae)
学名: Lespedeza tomentosa (Thunb.) Siebold ex Maxim.
イヌハギ; 環境省レッドリスト... イヌハギ;
環境省レッドリスト絶滅危惧Ⅱ類(VU)。
河原や海に近い日当たりのよい砂地に生える半低木状の多年草。
茎は基部が木化して直立して上部で分枝し、高さ1-1.5m。
全体に黄褐色の軟毛が密生する。
葉は互生し、長さ2-3cmの柄がある3出複葉。
頂小葉は長さ3-6cm、幅1.5-3cmの卵状楕円形で先は鈍形。
茎頂や上部の葉腋から出る長い総状花序、
黄白色で長さ0.8-1cmの蝶形花が多数つく。
萼は長さ約6mmで黄褐色の開出毛が密生して5深裂。
裂片は長さ4mmの狭披針形で先は針状にとがる。
花は黄白色~白色で、旗弁は長さ0.8-1cmの長楕円形。
翼弁は短く、楕円形。竜骨弁は旗弁とほぼ同長。
閉鎖花が葉腋に多数集まってつく。
閉鎖花は無弁で葉腋に多数が集まってつく。

《 里緑地(里山)の晩夏の花〝... 《 里緑地(里山)の晩夏の花〝犬萩〟 ❖ 2024/8月下旬~9月上旬 ❖  》
花名は、ハギに比べ花が目立たず地味なので「イヌ」の名を冠した由。
ネコハギよりも大きいことからついたという説、
又、「ネコハギ」の名はイヌハギより全体に多毛な事によるとの説もある。
何れにしても日本的な呼称で日本文化・歴史を理解していないと意味不明。

“マメ科植物の特徴・・・根粒菌”
ハギに代表されるマメ科の植物は、その根に根粒菌を寄生させている。
根粒菌とは、ハギ等の宿主に寄生し根に根粒というコブ(根粒)を作り出す。
コブは、大気中の窒素を吸収し宿主植物の栄養に変換し、宿主の成長を助ける。
こういった共生関係がハギのやせた土地での生育を可能にしている。

ーー秋田県立大学生物資源科学部 生物環境科学科 助教 佐藤孝ーー
畑の大豆を抜いて根っこを見てみると、根っこに数ミリメートルの瘤(こぶ)のようなものがいっぱいくっついています。これは根粒と呼ばれる器官で、この中に根粒菌(バクテリアの一種)という土壌微生物が住んでいます。根粒菌は大気中の窒素をアンモニアに変換し(窒素固定といいます)、植物の生育に欠かせない窒素を大豆に供給する働きをしています。
化学肥料のアンモニアは1000気圧という超高圧、500℃という高温のもとで窒素と水素の化学反応で工業的に作られますが、莫大なエネルギーを費やします。根粒菌はこの反応を常温常圧でいとも簡単にやってしまう、まさに自然が創造した「超すぐれもの」なのです。大豆に限らずマメ科植物(エンドウ、クローバーなども仲間なのです!)は、根粒菌と共生して窒素固定しています。自然界は不思議ですね。
ヘアリーベッチというマメ科植物がありますが、土壌改良や緑肥(土壌にすき込んで肥料にする)に使われ最近注目されています。しかし、比較的低温である東北地方や北海道では植栽がむずかしく、あまり普及していません。私達の研究室では、低温でも窒素固定活性が高い根粒菌を発見し、ヘアリーベッチの生育を促進させることに成功しました。この根粒菌をY629株と名づけて(特許出願中)、現在普及させるべく農家や仲間と活動中です。今後はヘアリーベッチで成功したこの技術を大豆栽培にも応用し、「スーパー根粒菌」を探し出して、安定した大豆生産に役立てたいと研究中です。


*神奈川県植物誌より*
半低木状の多年草.全体に黄褐色の軟毛が密生する.
茎は直立して高さ 1.5m に達し,下部が木化する.
小葉はやや大型の長楕円形で長さ 3~6cm.
有弁の花は白色で上部の葉腋から出る総状花序につき,
無弁の閉鎖花は葉腋に集まってつく.
本州,四国,九州,琉球;東アジアに分布する.
海岸近くや川原の砂地に生える.
県内では相模川沿いの地域で記録されたが稀.
『国 RDB15』は絶滅危惧Ⅱ類,『神 RDB06』では絶滅危惧Ⅰ B 類とされた.
《雅羅・/・襍録〝里緑地の花Ⅳ...
 

「令和陸年(皇紀2684年)9月12日、記」
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《 雅羅・/・襍〝備忘録'24-20〟❖ ’24-255 ❖ 》

ナベナ(鍋菜)スイカズラ科(C... ナベナ(鍋菜)スイカズラ科(Caprifoliaceae)
学名:Dipsacus japonicus Miq.
APG分類ではマツムシソウ科は、スイカズラ科に分類された。
ナベナ(鍋菜);2年草(越年草)、茎高1~2m位。
茎はよく分枝し、全体に刺状の剛毛が生えているが、
茎の下部は、下向きの長毛が密生している。
葉は、対生。下部は羽状に全裂し、翼のある柄がある。
羽片は長さ6〜15cmで鋸歯があり、下方のものは小型。
茎下部の葉は5裂、上部では0~3裂、頂葉片が最も大きい。
頭大羽状に全裂した裂片は、卵円形~楕円形。
花は枝先に多数の小さな花が集まり頭花となり径約2cmで淡紅紫色。
小花の花冠は筒状花で長さ約7mm、上部は4裂し裂片に長短がある。
総苞片は線形、長さ5~20cm、1列に並び反り返る。雄蕊は4個。
萼の先はコップ状に広がり、縁に毛がある。
雄蕊4個が突き出し、紫褐色の葯が目立つ。
花冠の間から突き出る緑色の刺状のものは花床鱗片。
小苞片(Flora of Chinaではbracteole)とも呼ばれる。
長さ約8㎜、先が刺状に尖り、褐色を帯び、毛が生える。
総苞片は1列、長さ5~20㎜の線形で垂れ下がる。花期は8~9月。
果実(痩果)の小総苞は4片からなり、8肋がある。
くさび形で長さ5~6mm、集まって球状になる。
花床の鱗片はくさび形で小花を包み、先に剛毛の生えた刺針がある。
葉は対生、左右対称で見事な釣り... 葉は対生、左右対称で見事な釣り合い。
葉が、基部まで羽状に切れ込み、
先端の裂片が最も大きく基部の裂片は小さい。
この様な形状の葉を頭大羽状裂と言う由。
各裂片の先端は尖り縁に鋸歯がある。
花も良いが、葉も見事なフォルムだ。
面白い咲き方。 面白い咲き方。
拡大した花は、更に複雑な構造を... 拡大した花は、更に複雑な構造をしている。
黒丸地点は、自生確認地だ。丹沢... 黒丸地点は、自生確認地だ。丹沢山地等、山間部に自生している。
平地で見ることは、無理とは思うが、間違って出てこないものだろうか。

*以上の画像は、すべて借り物*



《 泉の森では未確認の草本〝鍋菜〟》
泉の森の一部は、立入禁止。鍋菜〟が生育していそうな場所もありそう。
特異な泉の森であるがゆえに、夢膨らむ。
福島県会津地方や茨城県の筑波山麓等、出会った場所を重ねてみると、尚更である。
 
「令和陸年(皇紀2684年)9月11日、記」
 
 
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《雅羅・/・襍録〝里地の花Ⅲ〟❖ ’24-254 ❖》

オトコエシ(男郎花)スイカズラ... オトコエシ(男郎花)スイカズラ科(Caprifoliaceae)
学名:Patrinia villosa (Thunb.) Juss.
別名:オトコメシ、シロオミナエシ、シロアワバナ、ツチナ、トチナ等。
オミナエシ科はスイカズラ科に含められた。
花に近寄って見ると; 匐枝を出... 花に近寄って見ると;
匐枝を出して、広がる。茎の上部はほとんど無毛、下部は有毛。
葉は対生し、長さ3~15㎝。
上部の葉は分裂しないが、中部以下の葉は羽状に3~5深裂する。
頂部の葉が最も大きく、裂片は卵状長楕円形。
花は散房状に多数つき、花冠は白色、5裂する。
オミナエシは、花が黄色。
オミナエシの自生は少なくなったがオトコエシは多い。
又、オミナエシ属オトコエシ種内にオトコオミナエシがある。
高次倍数体間の交雑種であるが、黄花や白花が混在する。
仲間のオミナエシは匍匐枝を出さず、地下茎で増え、花は黄色。

《 泉の森・こもれび広場〝男郎... 《 泉の森・こもれび広場〝男郎花〟 ❖ 2024/8月下旬~9月上旬 ❖  》
泉の森の〝男郎花〟は、自生・野生種である。
画像の〝男郎花〟は、分植・移植したもの。
オトコエシ(男郎花)という名は、茎がより太く、葉がより厚い。
全体に逞しい印象を持つことに由来する。
開花状態の茎上部の傘状の大きな花序は、みごたえがある。
茎の根元からは匍匐枝(走出枝)、赤い蔓状の茎が横に伸びる。
その先に新たな株を作る。ときに山の谷間などでは大群落をなす。
秋に採取した根を乾燥させ煎じて飲めば、解熱や解毒に効果がある。
又、漢方名は「白花敗腐」。若葉の揚げ物もおつなものである。
オトコエシに似ている草花に“カノコソウ”がある。

「令和陸年(皇紀2684年)9月10日、記」
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《雅羅・/・襍録〝里緑地の花Ⅱ〟❖ ’24-253 ❖》

ナツエビネ(夏海老根)ラン科(... ナツエビネ(夏海老根)ラン科(Orchidaceae)
学名: Calanthe puberula Lindl.; C. reflexa Maxim.
常緑性で、やや湿った落葉樹林下... 常緑性で、やや湿った落葉樹林下にはえる。
偽球茎は、球形で地表近くをじゅず状に連なる。
葉は 3~5 枚,束生し長さ10~30cm。
狭長楕円形で先は尖り,縦のひだが目立つ。
表面は光沢無く白みをおびている。
花茎は基部葉腋より出て高さ20~40cmで短毛がある。
花期は 7~8 月。花は花茎の上半部に 8~20 個つけ淡紅紫色。
苞は披針形。萼片は狭卵形で上方に反る。
側花弁は線形で後方に曲がり、唇弁は心臓状卵形で前方に垂れ、
基部近くで 3 裂し中裂片は広楕円形で大きく先は尖る。
縁は細かくちじれ,隆起線はない。蒴果は倒卵形。
北海道(南部),本州,四国,九州に分布する。
県内では『神植目 33,神植誌 58』は塔ヶ岳,津久井,
横須賀,『箱根目 58』は神山が産地として記録されていた。
現在は、西丹沢のブナ帯や相模原市緑区(旧藤野町)、
それらのシイ・カシ帯の樹林内に生えるが稀。
『神 RDB95』では絶滅危惧種 ,
『神 RDB06』では絶滅危惧ⅠA 類とされた.

《 泉の森・山野草園〝夏海老根... 《 泉の森・山野草園〝夏海老根〟 ❖ 2024/8月下旬~9月上旬 ❖  》
泉の森の〝夏海老根〟は、自生・野生種ではなく植栽されたものに由。
すぐ近くにサイハイランがおり、開花期的には順繰りで良い。
今年の8月にすぐ脇の大木が伐採された。
今後にこの伐採が、周りの植物に如何に影響するか観察を続けたい。

「令和陸年(皇紀2684年)9月9日、記」
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《雅羅・/・襍録〝里緑地の花Ⅰ〟❖ ’24-252 ❖》

センニンソウ(仙人草)キンポウ... センニンソウ(仙人草)キンポウゲ科(Ranunculaceae)
学名: Clematis terniflora DC.; C. maximowicziana Franch. & Sav., Enum. Pl. Jap.
センニンソウ(仙人草);蔓性木... センニンソウ(仙人草);蔓性木質(半低木)の多年草。
自生場所は、シイ・カシ帯~ブナ帯下部に見られる。
葉は羽状複葉、小葉は 3~7 枚。小葉の葉形は卵形~狭披針形と変化がある。
夏に、枝の先端および葉腋から3出円錐状集散花序を出す。
白い小さな4弁花に見えるのは萼片で、白色の萼片4枚が十字形に平開する。
牡丹蔓に似ているが、仙人草の葉には切れ込みがない。
対して牡丹蔓には牡丹の葉のような切れ込みがある。
また、仙人草は草。 牡丹蔓は、基部が木質化し、木に分類される。
仙人草の茎や葉の切断面から出る汁や濡れた花粉に触れると炎症を起す有毒植物。
花名の由来は果実先端に長く伸びた毛が仙人の髭に似てる事による。


《 里山里地の晩夏の花〝仙人草〟 ❖ 2024/8月下旬~9月上旬 ❖  》
“せんにんそう”;
夏になると、各地の日当たりの良い道端の藪や山野で咲き誇る花。
白い花を沢山に纏ったセンニンソウは、目を引く程に見事だ。
センニンソウはつる性の多年草で、無毛の茎は勢いよく長く伸びる。
仙人草の別名には、ウマノハオトシ(馬の歯落とし)、ウマノハコボレ(馬歯欠)、
ウシクワズ(牛食わず)、ハコボレ(歯欠)、ハグサ(歯草)等がある。
此等の別名は有毒植物にゆえんする。
泉の森・シラカシの池東側(池東防衛林・仮称どんぐり広場)。
中に大きなホウノキがあり、脇の草地にアワブキが移植されている。
そんな所に、仙人草が咲き誇っていた。
柵にしたロープを蔓にしたように絡みつき、覆いかぶさった仙人草。
キンポウゲ科の学名はRANUNCULACEAE(ラナンキュラス)、
センニンソウ属の学名はClematis(クレマチス)、
どちらも園芸種の名前に使われて いる花名だ。
キンポウゲ科の植物は花弁状の萼片をつけるものが多く、
トリカブト属をはじめアルカロイドを含む有毒植物が多い。
 薬用として利用されるものもあるが。
花が美しく観賞用に栽培されるものも多い。日本には22属145種もある。
センニンソウ(クレマチス) 属にはつる性のものが多く、
葉は対生し葉柄で他のものに絡みつき、雄蕊、雌蕊が多数あるのが特徴。
半鐘蔓を除き風車・鉄線等、花が大きく上向きに咲く鑑賞用花。
この仙人草は在来種で、クレマチスの野生原種でもある。
オオアカマルノミハムシの仲間(ハムシ科の昆虫)は、
センニンソウの仲間の葉を食べて育つ、と図鑑で知った。
とか 甲虫が、集まっている姿を以前、見たことがある。
花には、わずかに芳香がある・・“ほのかな香り”
 
「令和陸年(皇紀2684年)9月8日、記」
 
 


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《雅羅・/・襍崋〝続・北岳花Ⅱ〟❖ ’24-251 ❖》

キタダケキンポウゲ (北岳金鳳... キタダケキンポウゲ (北岳金鳳花) キンポウゲ科(Ranunculaceae)
学名:Ranunculus kitadakeanus
キタダケキンポウゲ (北岳金鳳... キタダケキンポウゲ (北岳金鳳花);
草丈8~20cmの多年草。茎や葉柄には白い毛がある。
葉は細かく裂け、長さ1~2.5cmの細い糸状になる。
花は黄色で茎の先に1個つき、大きさ1.5cm程度。
萼片の外側に白い毛が生える。
本州・南アルプス北岳の稜線・岩場(礫地)の陰に自生している。
環境が厳しい場所、草丈も低く気をつけなければ見逃してしまう。
同じ仲間に八ヶ岳に咲くヤツガタケキンポウゲがある。
北岳を代表する初夏の花、7月上旬に咲き始める。絶滅危惧1B類 。
南アルプス・北岳~間ノ岳の稜線の岩場にだけ自生している。
“ミヤマキンポウゲ”よりはるかに小さい花。
キンポウゲ種らしく光沢ある黄色の花を花茎の先にひとつ咲かせる。
花弁の下に大きな萼片が5個付き、3深裂した細い茎葉が3枚つく。
根生葉は、切れ込みの深い3深裂。環境省:絶滅危惧ⅠB類(EN)
山梨県:絶滅危惧種ⅠA類(CR)に指定されている。


《 北岳の希少植物・続Ⅱ〝キタ... 《 北岳の希少植物・続Ⅱ〝キタダケキンポウゲ〟 ❖ 1970~/初夏 ❖ 》
“北岳金鳳花”;
南アルプスには標高3000mを超える高峰が14座、
それらの稜線周辺に多様な高山植物が自生している。
高山植物分布の特徴、南アルプス山岳地域は、日本列島南部に位置する。
又、植物の分布においては、南限にあたるものが多い。
地質学的においても多様で砂岩・花崗岩・石灰岩等々。
此等の場所に日本固有種、周北極要素の種、大陸要素の種が混在している。
固有種は特に最高峰の北岳に多く、キタダケソウはその代表的な種である。
キンポウゲ科の植物で南東面の石灰岩地に生育し、
花は白く雪どけと同時に開花する。
その為、7月初めのまだ雪深い大樺沢の雪渓を登らなければ見れない。
かつては盗掘に会い、その個体数は減少したが、現在は回復している。
北岳と名の付く植物は多い。キタダケキンポウゲは、その代表的なもの。
石灰岩地の白い岸壁に鮮やかな紫色の花をつけるミヤマムラサキも特徴的。
北極圏でよく見られる仲間で、日本列島に分布を広げてきたと思われる花々、
チョウノスケソウ、ムカゴユキノシタ、タカネマンテマ、ムカゴトラノウ、
此等の花々は、南アルプス中部が南限となる。
このうち、ムカゴユキノシタは「むかご」を持つこと、
タカネマンテマは「ぼんぼり状のガク」を持つことでよく知られているが、
これらは極端に個体数が少なく、保護を必要とする植物である。
チョウノスケソウは氷河期に北極圏から放射状に分布を広げた代表的な植物。
かつて、日本列島に広く分布を広げたが、
現在では南アルプスと八ヶ岳の限られた場所に集中的に自生している。
北アルプスにはわずかしか自生していないが、
須川長之助が初めて発見した地は富山県の立山である。
この植物は学術的にも大変に貴重な存在で、
北極域からの分布経路に関する遺伝子解析の対象となっている。
高山植物が数多くかつ広範囲に生育している場所を「お花畑」と呼ぶ。
このような場所は一般に草丈の高いキンポウゲ科の花々が優占している。
その代表的なものは千丈ヶ岳の馬の背、北岳南東面、塩見岳雪渓跡地、
三伏峠、千枚岳南面、荒川前岳の南西斜面(荒川のお花畑)で、
これらが成立する土壌は水分条件がよく夏期には美しい花園となる。
しかし、現在その多くがニホンジカの食害に会い、
かつてのお花畑は見られなくなってしまった。
その中でも荒川のお花畑と北岳のキタダケソウ群落の一部は、
シカの侵入を防ぐ柵を設置することにより、シカの食害を防いでいる。
そのほかシカ柵を設置した場所の多くは現在回復の方向に向かっている。
**ある資料で拜読、昔を感慨深く思った一瞬であった。**
南アルプスには氷河時代に作られた氷河地形がたくさん残る山域。
それらは日本列島における氷河地形の南限でもある。
高山植物の多くは山岳域に残る氷河地形(カール地形)に対応している。
南限のカール地形として最もその特徴を維持したまま残っている山域、
顕著なのは、荒川三山の前岳の南面カールである。
そこには、カール地形の特徴に対応し多くの高山植物が生育している。

今年の夏は、私的雑用でいっぱいだった。出かける時間をもてなかった。
お陰で、昔を思い返す時間をもてた。

「令和陸年(皇紀2684年)9月7日、記」
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《雅羅・/・襍崋〝続・北岳花Ⅰ〟❖ ’24-250 ❖》

ミヤマハナシノブ (深山花忍)... ミヤマハナシノブ (深山花忍) ハナシノブ科 (Polemoniaceae)
学名:Polemonium caeruleum subsp. yezoense var. nipponicum
ミヤマハナシノブ (深山花忍); ハナシノブ属

北岳を代表する初夏の花。7月上旬に咲き始める。
右俣コースなど草地に生える。
花は淡青紫色で花冠は2cmほどの漏斗形。
草丈40~50cmの多年草。葉は互生し羽状に深裂する。
小葉は7~9対あり、長さ2~5cm、幅0.3~1.5cm。
花は散房花序につき、花冠は淡青紫色で5深裂する。
花柄や萼の基部に短い腺毛と細毛がある。
萼は3分の2ほど切れ込む。
(北岳・肩の小屋HPより)

北岳登山で多くの登山者が選ぶルート、大樺沢沿いに登るコース。
沢沿いを登る。明るく開放的で花も多い。黙々と登るのだが。。!
二俣が近づくと、天空のお花畑が迎えてくれる。
北岳バットレスの勇壮な姿もお花畑と一体化して素晴らしい。
その景観は、登ってきた疲れを忘れさせてくれる。
お花畑の中に北岳では然程珍しくないが、
清楚な“深山花忍”が顔を見せてくれる。。。!
日本固有種の高山植物、限られた場所でしか見えない。
絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている。

《 北岳の希少植物・続Ⅰ〝ミヤ... 《 北岳の希少植物・続Ⅰ〝ミヤマハナシノブ〟 ❖ 1970~/初夏 ❖ 》
“深山花忍”、古風と感じる青紫の清楚な花(箱根湿生花園では毎年見れる)。
ミヤマハナシノブ(深山花忍);
花名の由来は、シダ植物「シノブ」の葉に似ていることからに由。
優美な姿、それ故の宿命か!盗掘で姿を消しつつあった。
30年以上も前のことだが、盗掘者(5名グループ)が送検された。
罰金刑であったが、其の数人が園芸店をいまでも開業している。
絶滅危惧種の販売、一寸ひっかかる。
北アルプスでは希少で清水岳(しょうずだけ)で探すのに苦労したものだ。
今では、普通の登山でみれる花だ。それ故、さらなる盗掘が心配だ。
紙のように薄い花冠、空色というにふさわしい明るい青。
「はなしのぶ」という名にふさわしい可憐な花。
北岳に、清水岳に、今一度訪ねたい。
真夏の花々を書いたが、この〝ミヤマハナシノブ〟は、外せない。

「令和陸年(皇紀2684年)9月6日、記」


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《雅羅・/・襍懐古〝山羊歯Ⅳ〟❖ ’24-249 ❖》

キタダケデンダ(北岳連朶)イワ... キタダケデンダ(北岳連朶)イワデンダ科 (Woodsiaceae)
学名: Woodsia subcordata Turcz
別名:ヒメデンダ(姫連朶)
絶滅危惧ⅠA類 (CR) / 環境省レッドリスト2020 , 2020 . 
場所によっては、生え方も違う。 場所によっては、生え方も違う。
胞子も絵になる。 胞子も絵になる。
小葉も枝も環境に対処するように... 小葉も枝も環境に対処するように細い毛が見える。

左側高所が北岳山頂、右下が肩の... 左側高所が北岳山頂、右下が肩の小屋。
この周辺が、日本屈指の・・高山植物の宝庫。

*以上の画像、すべて借り物画像。
《 北岳の羊歯  Ⅳ〝北岳連朶〟 ❖ 1970~/夏 ❖ 》
南アルプスの高山や、八ヶ岳、北海道にも自生している珍しいシダ。
キタダケデンダ;
タカネシダ(オシダ科)やトガクシシダ(イワデンダ科)、
この2種とは、極めて似通っている。慎重かつ真摯な観察が必要である。
平凡社の図鑑と山渓の図鑑のキタダケデンダの写真は、タカネシダっぽい。
かような指摘をしてるHPを拜した。まともな、勇気ある指摘でありがたい。

高山性の夏緑性シダ。葉は長さ15 cmほど、根茎は直立状を呈する。
一見して、同属イワデンダの趣きがあるのだが、
羽片は中~浅裂、葉柄の関節は、葉柄の半分からやや上の所にある。
基部に鱗片があり、根茎、葉柄基部の鱗片は、卵状披針形から披針形。
高山帯の岩の割れ目などに自生しているが、見つけるのが大変だった。
岩場の岩壁崩落等で生育環境変化、登山者の増加で絶滅が危惧される。
今では、尾瀬に自生が見つかっている。それでも絶滅の危機には変わらない。
他方、下界の園芸店には鉢植えで販売されている。販売物の出処は???
そんな販売物を見ていると、自生地の保存・保全は急務と思うのである。
それにしても園芸店のそれは¥1.000に満たない。淋しい感覚に落ち入る。
 
「令和陸年(皇紀2684年)9月5日、記」


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《雅羅・/・襍懐古〝山羊歯Ⅲ〟❖ ’24-248 ❖》

《雅羅・/・襍懐古〝山羊歯Ⅲ〟...
《雅羅・/・襍懐古〝山羊歯Ⅲ〟...
《雅羅・/・襍懐古〝山羊歯Ⅲ〟...
ヒイラギデンダ(柊連朶)オシダ... ヒイラギデンダ(柊連朶)オシダ科(Dryopteridaceae)
学名:Polystichum lonchitis 
別名:ヒイラギシダ、クモイカグマ 
絶滅危惧ⅠB類 (EN) / 環境省レッドリスト2020 , 2020 .
以上、4点の画像は、拝借画像。
最近撮影された画像のようだが、撮影にご苦労されたと感じる。

平地で育てた画像。 *筑波実験... 平地で育てた画像。
*筑波実験植物園*

以上の画像すべて借り物。
昔、北岳で撮影したが、当時のプリント画像がみつからない。


《 北岳の羊歯  Ⅲ〝柊連朶〟 ❖ 1970~/夏 ❖ 》
“北岳”周辺のみに自生している羊歯類で自生個数少ない。
ヒイラギデンダ;
北半球の高山帯に見られるシダの仲間。
日本では山梨県の北岳の山頂付近にのみ自生している。
希少種の中でも極めて個体数が少ない。氷河期の遺存種。
近く絶滅が心配される絶滅危惧1B類に入れられている。
オシダの仲間だが、小型で葉が羽状に切れ込んでいる。
その縁がぎざぎざになっているのが特徴。葉にはつやがある。
 
「令和陸年(皇紀2684年)9月4日、記」


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