《 雅羅・/・襍〝備忘録  24-39〟❖ ’24-296 ❖ 》

ミズネコノオ(水猫の尾) シソ... ミズネコノオ(水猫の尾) シソ科《  Lamiaceae (Labiatae ) 》
学名:Eusteralis stellata (Lour.) Murata
環境省レッドリスト2012 準絶滅危惧(NT)。
花冠が小さく突き出す雄蕊もさほ... 花冠が小さく突き出す雄蕊もさほど長くないので翌々見ないと咲いているかどうかわからない。
*
ミズネコノオ(水猫の尾);ミズトラノオ属
関東地方~九州,徳之島,に自生分布し,休耕田や湿地に生える。
茎高15~50cmの軟弱な一年草。茎は中央付近で多数枝を出す。
葉は3-6個ずつ輪生し、長さ2-6mm、幅2-4mm。
花穂は茎頂と枝先に直立し、長さ2~5mmになり、幅4~5mm。
花は白または淡紅色で密につき、雄蕊を含めると長さ約3mm。
8~10月に開花。花糸の毛は目立たない。
2~5cmほどの花序に2mmほ... 2~5cmほどの花序に2mmほどの花が沢山つく。(2015.9栃木県宇都宮市)
花は2mm程ととても小さく花冠... 花は2mm程ととても小さく花冠から4本の雄蕊と花柱先端が2裂した雌蕊が飛び出します。
花糸の下半分に毛が見られました。(2014.10/2016.10千葉市)
葉自身も特徴的で細く長い。湿性... 葉自身も特徴的で細く長い。湿性での存在感は、見る者にとって瀟洒に映る。
( 以上の画像、総て借り物 )

《 近在では見れない花・探したい、見つけたい野草  》
**  神奈川県植物誌  **... **  神奈川県植物誌  **
15.ミズトラノオ属 Pogostemon Desf(関口克己,図:関口克己)
別名ヒゲオシベ属.1~多年草.茎は中空.葉は無柄,直立する茎に対生または輪生してつく.
花は頂生する密な穂状花序につく.苞は花冠よりも小さいかまたはほぼ同じ大きさ.
花は無柄,花冠はやや等しく 4 裂.雄しべは 4本で花冠よりも突出し花糸には毛がある.
萼は鐘形で外面に毛がある.分果は長披針形~卵形で表面は平滑.
アフリカ,アジア東南部~インド,オーストラリアなどに 85 種ほどがある.
日本には 2 種があり,県内にも記録だけのものを含め 2 種がある.
以前はミズトラノオ属 Dysophylla Blume とされていたが,
近年,Press(1982 Bulletin of theBritish Museum (Natural History), Botany 10: 74)
により Pogostemon に統合された.
A.1 年草.茎は中央付近で多分枝.葉は 3~8 輪生.
花穂は長さ 2~6cm,幅 4~5mm ....................(1)ミズネコノオ
A.多年草.茎はほぼ無分枝.葉は 3~4 輪生.花穂は長さ 2~8cm,
幅 10mm 以上 ..............................*ミズトラノオ
(1)ミズネコノオ Pogostemon stellatus (Lour.) Kuntze;
Dysophylla stellata (Lour.) Benth.
1 年草.茎は直立し,高さ 15~60cm,
やや多肉質でやわらかく,中央部付近で多数枝を出す.
葉は無柄で長さ 2~5cm,幅 1.5~5mm,縁は細鋸歯があるかほぼ全縁,
先端鋭頭,下面に腺点がある.花は 8~10 月.茎頂に花穂を1 本つける.
花はほぼ無柄.苞は披針形で長さ約 2mm,鋭頭.
花冠は長さ約 2mm,鐘形で白色または淡紅色,先は4 裂する.
雄しべはほぼ同長で花外に突き出し,花糸にはまばらに毛がある.
萼は鐘形で長さ 1~1.5mm,密に毛がある.
分果は卵形で長さ約 0.6mm.
本州(茨城県以西),四国,九州,琉球;
朝鮮半島,中国(中部~南部),台湾,
インドシナ,マレーシア,インドに分布.
シイ・カシ帯の沖積地~丘陵の水田や低湿地に生える.
県内では『神植目 33』には横浜,戸塚(汲沢),
『神植誌 58』は横浜,鎌倉,平塚等を産地としてあげ,
『神植誌 88』やその後の調査では見出せなかったが,
1991 年に横浜市西区,2014 年に南足柄市などで採集された.
『神 RDB95,神 RDB06』では絶滅種,
『国 RDB15』では絶滅危惧Ⅱ類にされた.
標本:武蔵戸塚 1914.10.14 左右田 TNS44461;
相模戸塚 1915 牧野富太郎 MAK38647;Totsuka 1914.10.11 K.Hisauchi TI;
Hiratsuka 1905.9 牧野富太郎 TI;
相模平塚 1905.9 牧野富太郎 MAK36025;
相模茅ヶ崎 1915 牧野富太郎MAK38646;
横浜市西区浅間町 1 丁目 1991.9.20 吉川アサ子 KPM-NA1104148;
南足柄市 2014.9.9 伊藤晁逸 KPM-NA0295799.
*       *       *
ミズネコノオ、かつては、稲刈り後の水田で見られたと資料にあった。
手作業での稲刈りで切り取られずに残った草。
コンバインの下敷きで残存環境は、変化した。
一年草の宿命で開花結実する必要がある。
なんとか生き残った草体は花数が少ない現実。
それでもミズネコノオは休耕田で見る機会がある由。
似た仲間のミズトラノオは、湿地でしっかりと生育している。
水田の耕起湛水のサイクルに合わせた一年草のミズネコノオ。
対して、安定した湿地で生きる多年草のミズトラノオ。
生態系とは、不可思議なものだ。
ミズネコノオは、花穂を付ける華麗な植物に映る。
草全体としてはミズネコノオは、品位が高いように感じる。
しかし生育環境等で絶滅危惧に瀕している。
自生地を探せど神奈川県内では出会ったことがない。
南九州の水田等では、“ある所にはわんさかある”と。
環境変化による埋土種子の発芽が、あっても不思議ではない。
肥料と農薬、除草剤の使用量減少、無農薬稲作農家が増えているので。
シソクサやサワトウガラシ、ヒロハイヌノヒゲ等々が見られている昨今。
除草剤が、埋土種子まで浸透していなかった様に思える。
万一にミズネコノオ埋土種子の発芽が見れれば幸いだ。

「令和陸年(皇紀2684年)10月22日


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《 雅羅・/・〝里緑地の実〟❖ ’24-295 ❖ 》

ジュズダマ(数珠玉) イネ科(... ジュズダマ(数珠玉) イネ科(Poaceae)
学名:Coix lacryma-jobi L.
別名:トウムギ(唐麦)
ジュズダマ(数珠玉);多年草 ... ジュズダマ(数珠玉);多年草
熱帯アジア原産で古く有史以前に日本に入ってきた由。
本州〜沖縄の水辺や畑地などに極普通に生育し、群生。
湿地や田圃(休耕田)周辺を好んで生えている様だ。
昭和30年頃では、何処にでも見え雑草とも云われ。。!
機械によって刈り払われる様は、寂しくおもったりしたものだ。
子供時代、練兵場と呼ばれた周辺に数珠玉が沢山見れた。
今や住宅地と化した。又、農耕地周辺でもあまり見られない。
ましてや雑草と呼ぶ人々の話を聞くと、ため息がでる。
茎は直立・叢生。茎の高さ80〜... 茎は直立・叢生。茎の高さ80〜150cm。葉は大きく披針形。
の長さ30〜60cm、幅2〜4cm。
花序は散房状、茎の上部の葉腋から出る。
雌性小穂は葉腋の基部につき、
葉鞘の変化した堅い総苞葉に包まれ、内に1小花(第2小花)を含む。
雄性小穂は総苞葉をつらぬき、短い柄の先に単生し総状になる。
果実はほぼ円形、灰白色、長さ6mm。
花期は8〜9月。(日本イネ科植物図譜)
小穂は単性、雌小穂は硬質壺形の苞鞘内にあり、
1小花があり、両側に退化小穂がある。(原色日本植物図鑑) 
雄小穂と雌小穂があり、苞葉が変形した「つぼ」に納まった雌小穂群
と「つぼ」から突き出した雄小穂群で1つの花序ができている。
雌小穂3個のうち、1個だけがブラシ状の花柱を出す。
柱頭がしおれてから、雄花序の包穎が開いて葯がぶら下がる。
「つぼ」の横断面と中身。果実を含んだ雌小穂(稔実小穂)と
含まない雌小穂(不稔小穂―2つの細長い小穂)が組み合わさっている。
苞葉鞘の中には1個の雌小穂のほかに2つの棒状のものが含まれ、
苞葉鞘の口からはそれら2つが頭を覗かせている。
これらは退化して花をつけなくなった小穂である。
したがって、包葉鞘の中には、花をつける小穂(登実小穂)1つと、
その両側にある不実の小穂2つが包まれていることになる。(Wikipedia)
植物図鑑的には書くと堅苦しいが、ジュズダマの花は複雑。
同じ株に雄花と雌花があり、実のように見える苞鞘(ほうしょう)
から出ている糸のような白い花が雌花で、
その先に伸びている黄色の花が雄花。
玉の様な硬い袋玉は苞鞘(ほうしょう)と呼ぶ。
花はその先端から蕊だけが出ている。花弁はない。
こんな生育経緯を雌性先熟(しせいせんじゅく)と言う。
蕊が出て来ていたらそれが雌蕊(雌花)の柱頭。
雌蕊が終わる頃に穂のように垂れて来るのが雄花。
実ははじめ緑色で秋には黒く色を変える。
ジュズダマの実は、昔は実際に数珠(念珠)に使われた。
苞鞘は熟すにつれて硬くなり、白色~灰褐色~黒色などに変色。
つやが出てくると、中々の風合いである。
中心に穴があいている事で古くは、数珠に利用された。
我が子供の頃には、お手玉(玩具)に詰めたり、
女児が宝石と称してネックレス等にして遊んでいた。
今やこうした遊びは、姿をけしてしまったようだ。

《 余り見向きもされない〝数珠玉〟 ❖泉の森湿生花園❖  》
**  神奈川県植物誌  **... **  神奈川県植物誌  **
→88.ジュズダマ属 Coix L.(木場英久)
1 年草または多年草.稈にはスポンジ状の髄がある.
小穂に雌雄の 2 型があり,雌性小穂は葉鞘の変化した総苞
葉に包まれ,総苞葉の中から柄を伸ばし,
雄性小穂からなる総が垂れる.
アジアの熱帯に約 5 種があり,
日本にはジュズダマ 1 種が分布する.
(1)ジュズダマ Coix lacryma-jobi L.
1 年草.高さ 2m になる.葉の幅は 4cm に達する.
上方の数節の葉腋に花序をつける.
総苞葉の葉鞘の変形した,
いわゆる数珠玉は平滑で,光沢がある.
この数珠玉に短い葉身がつくことが稀にある.
花期は 8~10 月.熱帯アジア原産の帰化植物.
日本各地に帰化する.
県内では全域に普通.川岸など水辺に生える.
『神植誌 58』に「特に果実大形で琺瑯質の厚いものは
var. maxima Makino(オオジュズダマ)で
大山町で採集の記録がある」とある.
栽培されるハトムギ var. ma-yuen (Roman.) Stapf には,
数珠玉に縦溝があり,花序が垂れる.
ややっこしい構造。でも見ごたえ... ややっこしい構造。でも見ごたえがある。

未だ日差しが強い、秋には似合わ... 未だ日差しが強い、秋には似合わない里山緑地の一隅。
少し湿り気の在る所に数珠玉が、静かに実をつけている。
暑さ故か、子供達は、昆虫採集に夢中。それを見守っている。
過剰な手入れの無い所に魅せる野草に惹かれる。自然はいい。

「令和陸年(皇紀2684年)10月21日」
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《 雅羅・/・〝里緑地の羊歯〟❖ ’24-294 ❖ 》

フユノハナワラビ(冬の花蕨) ... フユノハナワラビ(冬の花蕨) ハナヤスリ科(Ophioglossaceae)
学名:Sceptridium ternatum (Thunb. ex Murray) Lyon
フユノハナワラビ(冬の花蕨);... フユノハナワラビ(冬の花蕨);冬緑性シダ植物
本州〜九州の日向の山野に生える。
栄養葉の柄は長く、基部近くで胞子葉を分岐する。
栄養葉は葉軸が三岐する。
小羽片は広卵形で鈍頭、辺縁は鈍鋸歯。
葉柄や羽軸は無毛。
胞子葉は栄養葉より長く、上部につく胞子嚢穂は2回〜3回羽状に分岐し、
円錐状に丸い胞子嚢をつけ、秋に熟した後に枯れる。
似たものにオオハナワラビやアカハナワラビがある。
3つの違いは栄養葉の様子により、
葉の先(鋸葉)が尖っている オオハナワラビ、アカハナワラビ
茎に毛がなければアカハナワラビ、オオハナワラビは茎、葉柄、葉軸に毛がある。
葉の先(鋸葉)が鈍頭 フユノハナワラビ(松江の花図鑑)。
**上の2画像は、借り物。**


《 人知れず姿を見せてた羊歯植物〝冬の花蕨〟  ❖泉の森❖  》
花のように見えるのは胞子葉と呼ばれる胞子を包んだ袋をつけた穂。
まるで子持ちワカメのような姿。
秋に葉を出し枯れずに冬を過ごして春に枯れる。
同じ形態にオオハナワラビ、アカハナワラビ、アカフユノハナワラビがある。
『研究者ノート(松本定・筑波大) 』
栄養葉と胞子葉は地表近くで合着して共通柄は短い。
栄養葉の羽片の頂片は鈍頭、裂片は鈍鋸歯縁である。胞子は秋から冬に熟する。
東北地方以南の暖地に見られ、山麓や原野の向陽地に多い。
9月に葉を出し、同時に花のような胞子葉を伸ばす冬緑型の多年生シダ植物。
落葉により空から林床へ光が届くこれからの時期にのびのびと生活をします。
しかしホオノキなどの大きな落葉に体を覆われると生存できず、生活域が左右されます。
また、本属の植物は胞子が土中へもぐり、そこで前葉体が作られます。』


「令和陸年(皇紀2684年)10月20日」


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《 雅羅・/・〝里緑地の花  '10-10〟❖ ’24-293 ❖ 》

ホトトギス(杜鵑草)  ユリ科... ホトトギス(杜鵑草)  ユリ科(Liliaceae)ホトトギス属   
学名:Tricyrtis hirta (Thunb.) Hook
別名:ユテンソウ(油点草)
日本固有の.在来種。本州(関東... 日本固有の.在来種。本州(関東以西)、四国、九州に自生してる。
山地のやや湿った半日陰などに生える多年草。
茎は普通、分枝せず長さ0.4~1mになる。
斜面から垂れ下がって咲く事も多い。茎には上向きの毛が密生する。
葉は互生し、茎の左右に並び毛が多く長楕円状披針形。
若い葉には表面に濃色の斑点(油点)があるが、次第に目立たなくなる。
花は葉脇につき、直径2-3cmの漏斗状鐘形。
茎頂と葉腋ごとに1~3個、上向きに咲き茎先端から基部に向かって咲き進む。
花披片は6個、平開せず斜めに開く。
白色で内側に紅紫色~紫色の斑点が多数つき、基部には黄色の斑紋がある。
斑点の色や濃淡、大小は変異が大きい。
3個の外花被片は倒披針形で3個の内花被片より広い。
基部が球状に膨らみ腺毛が生える。
雄蕊は6個で子房を囲んで直立し、上部で平開して帯紫色の葯を丁字形につける。
花糸は無毛。花柱の柱頭は3裂して平開しさらに2裂して多数の腺毛状の球状突起がある。
花糸や花柱、葯の上側にも紫色の斑点がある。
花柱は太く、柱頭が深く3裂し、先端がさらに2裂して平らに開く。
花披片に紅紫色~青紫色の斑点があり、花柱や柱頭、花糸に斑点がある。
花被片の基部には橙色の班紋がある。雄蕊6個。
果実は長さ4~5㎝、先が尖った三角柱状の蒴果、熟すと先端が小さく3裂する。
種子は長さ約2.5㎜の扁平な先が尖った卵形、赤褐色、表面に細かな網目がある。
ヤマホトトギスは花被片は下にくぼみ、先は上に向かって反り返る。
ヤマジノホトトギスは花被片が平開するか、上側に向かって膨らむ。
花被片が斜開するホトトギスとは区別は容易。
よく似たタイワンホトトギスとホトトギスとの交配も盛んに行われ、
都会で見られるものは、交配雑種と思しきものが多い。



《  静か&迫力ある咲きっぷり〝杜鵑草〟 ❖泉の森・こもれび広場❖  》
**神奈川県植物誌より** (...
**神奈川県植物誌より**
(3)ホトトギス Tricyrtis hirta (Thunb.) Hook.;
T. japonica Miq. in Ann. Mus. Bot. Lugd.-Bat., 3(5):
155 (1867) の基準産地の 1 つが横浜 (Maximowicz)
岸壁に生えたものは下垂し,平坦地に生えたものは直立し,高さ 40~90cm.
茎に毛が多い.9~10 月,
淡紅紫色で濃紫色の斑点がある花を葉腋に 1~3 個ずつつけ,
主茎の先から元への順で咲く.
本州,四国,九州に分布し,県内では全域に普通で,
川岸や湿った岸壁,草原や疎林の下に生える.
*       *       *
和名は、花弁の斑点模様が野鳥のホトトギスの胸模様に似ているに由来する。
泉の森の生育場は、歩行路脇の緩やかな斜面に静かに姿を魅せる。
元々、自生していたものか否かはわからない。
タイワンホトトギスとホトトギスの交雑園芸種とも見えるが??

「令和陸年(皇紀2684年)10月19日」
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《 雅羅・/・〝垣根の花 〟❖ ’24-292 ❖ 》

《 雅羅・/・〝垣根の花 〟❖...
キンモクセイ(金木犀)モクセイ科(Oleaceae)
学名:Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino
別名:モクセイ(広義)
 
 
キンモクセイ(金木犀);
キンモクセイはギンモクセイの変種と分類されている。
園芸種で花の色によりキンモクセイ、ギンモクセイ等に分けられている。
Osmanthus fragransはFlora of Chhinaでは広義に木犀(mu xi) とし、
花が帯黄色~黄色~橙色であり、他は園芸種であるとしている。
キンモクセイは中国からの渡来とされ、日本では雄株しか見られない。
キンモクセイは日本で育成されたという説もある。
幹は淡褐色、樹皮に細かい縦の割れ目が入る。
葉は対生し、葉柄は長さ0.8~1.2(1.5)㎝。
葉身は惰円形~楕円状披針形、全縁~上半分に細鋸歯縁、革質。
側脈は6~8(10)対、葉脈が葉裏に突出する。雌雄別株。
葉腋に集散花序をつけ、強い芳香のある花を多数つける。
苞は、広卵形。花冠は帯黄色~黄色~橙色。
雄蕊は2個。花筒の中間につき、不完全雄蕊も2個つく。
雌蕊は1個。核果は惰円形で翌年3月に紫黒色に熟す。
 
 
《 沢山の花をつける〝金木犀〟 ❖隣家との境界線❖  》
この季節になると、オトメツバキの右上で沢山の花をつける金木犀。
垣根として2m位に育っている。2階ベランダで昼寝をしながら眺めている。
淡い香りが漂ってくる。静寂なひととき。
以前は、厚木基地への離発着・・タッチ&ゴーの訓練で爆音が軣いていた!!
最近は、訓練場所が変わったとみえ、静かだ。
 
 
「令和陸年(皇紀2684年)10月18日」
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《 雅羅・/・〝里緑地の花  '10-9〟❖ ’24-291 ❖ 》

アズマヤマアザミ(東山薊)キク... アズマヤマアザミ(東山薊)キク科(Asteraceae)
学名:Cirsium microspicatum Nakai
アズマヤマアザミ(東山薊);ア... アズマヤマアザミ(東山薊);アザミ属
本州(東北地方南部から近畿地方の主に太平洋側)に自生している日本固有種。
茎は直立~斜上し、下部で枝分かれが少なく中部以上でよく分枝し上向きに伸びる。
茎葉は長さ23~50㎝、楕円形~広倒卵形で鎌状に曲がり先が鋭く尖る。
長さ23-50 cmで羽状に中裂~深裂し長い刺があり裂片は4~6対。
葉の基部は茎を抱かない。根生葉は花期にはない。花期は9月~11月。
頭花は直立または斜上、柄は無柄か殆ど無柄で,複花序は穂状となる。
総苞は狭筒形,直径は生時で6-10 mm,総苞片は11~12列で圧着する。
また、やや幅が広く筒形のものも見られ、あまり粘らないが総苞片に腺体はある。
くも毛も多い等、他の種と交雑しやすい種といわれ、交雑種も多い。
花色が薄く、頭花の柄(花序柄)が無柄でなく、短柄でありやや長いものもある。
花が枝先に単生するものや下向きに咲くものも見られる。
中部・関東地方では腺体が退化して総苞は粘らないものが多いが、
東北地方や北陸地方,近畿地方にみられるものでは、
中片と内片に楕円形の腺体が発達し総苞は粘る(ネバリアズマヤマアザミと呼ぶ)。
常緑樹林や夏緑樹林の林縁に生え,山麓部にも多くみられる。
小花は長さ18-21 mm,狭筒部は広筒部より長い。
痩果は灰褐色,長さ4 mm,冠毛は長さ14-16 mm。
ネバリアズマヤマアザミ form. glutinosum は東北地方、北陸地方、
近畿地方に分布し、総苞が著しく粘る。
和名の由来は四国、九州に分布するヤマアザミに似ていることから。


《  中々出会えない花〝東山薊〟 ❖泉の森・姥百合群生地端❖  》
《 雅羅・/・〝里緑地の花  ...
**  神奈川県植物誌  **... **  神奈川県植物誌  **
15)アズマヤマアザミ Cirsium microspicatum Nakai var. microspicatum
雌雄同株の多年草.花茎は高さ 1~1.5m,根生葉の葉脈にはしばしば白い斑が入る.
茎の下部の葉は羽状に浅~中裂し,裂片は 4~5 対ある.
花は 9~11 月,頭花は淡紅色でほとんど柄がなく,葉腋に 1~3 個がまとまってつく.
総苞は狭筒形で上部は少し細くなり,幅 8~12mm.
総苞片は短くやや斜上し,反り返らない.
関東地方,中部地方に分布し,県内では丹沢,箱根,小仏山地に多く,
多摩丘陵ではごく稀である.渓谷に面した林内や林縁に生える.
白花品のシロバナアズマヤマアザミ form. albiflorum Hid.Takah., nom. nud. が
山北町で採集されている.県内産をはじめ,関東南部では本種の総苞片の腺体は
退化的で粘らないものがほとんどだが,
近年,相模湖北部から総苞片の腺体が発達した粘る標本が得られており,
県内にも少ないが産することが分かってきた.
総苞片の腺体が発達したものは東北から北陸,近畿地方にかけて多く,
ネバリアズマヤマアザミ form. glutinosum Kitam. として区別されることもあるが,
種内における腺体の発達差異をどのように考えるか,
今後,他種を含めた再検討が必要と思われる.
標本:シロバナアズマヤマアザミ 山北町西丹沢世附峠 1995.9.8 高橋秀男 KPM-NA0104822;
山北町中川白石林道2015.10.20 西湖シダ勉強会 KPM-NA0283070;
ネバリアズマヤマアザミ 相模原市相模湖町底沢 2007.11.11 酒井藤夫・酒井啓子 KPM-NA0159387.

*       *       *
東山薊、強烈って・・見れば見る... 東山薊、強烈って・・見れば見るほど感服する。

泉の森にはアズマヤマアザミの他、色々な薊が咲いている由。
*タイアザミ(大薊)・関東地方に多いのでトネアザミ(利根薊)とも呼ばれる。
*ノアザミ
*アメリカオニアザミ、別名セイヨウオニアザミ
*ノアザミ  
*ノハラアザミ 
*キツネアザミ 
*クロアザミ 
以上、泉の森に見られたとの資料があるが、私的未見のものもある。
私観察では、セイヨウトゲアザミとおぼしき葉も見かけたが???
いまひとつ、???な葉を見た。私的には驚きの葉。
アズマヤマアザミから少し離れた所に見えたロゼット根葉に目が行った。
ロゼット様からヒレアザミ(鰭薊)属の一種と思える葉に見えた??
 カルドゥウス・デフロラツス;キク科ヒレアザミ属の二年草。
学名: Carduus defloratus、英名: Alpine thistle。
ヨーロッパの山々、標高800~2400mの草地や岩礫地などに生え、草丈15~60cm。
葉は長い披針形で、縁には先端に鋭い棘のある粗い鋸歯あり。
夏6月から8月頃、茎頂に赤紫色の頭花を咲かせる。総苞片は開出。
こんな花を以前見たことがあり葉形を思い出した。
 スイス・ルツェルン州のピラトゥス山山麓で見た花である。
“ピラトゥス山”は、思い出の名。北八ヶ岳に北八ヶ岳ロープウエイがある。
八ヶ岳の北端に位置する北横岳と縞枯山の間に架かるロープウエイ。
開設当初は、ピラタスロープウエーと言っていた。
スイスの ピラトゥス山の景観に似ている、と付いた名と聞いている。
工事中には黒曜石がかなりの量、出てきたのを見ている。
営林局のバイトをしていて目撃した。
そんなことで本場を散策しによったことがあり、色々花とであった。
若いロゼット葉を見かけて印象深く覚えていた。それに似ていた。
撮影しにくい場所。再度見に行って撮影・観察してみたい。


「令和陸年(皇紀2684年)10月17日」
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《 雅羅・/・〝里緑地の花  '10-8〟❖ ’24-290 ❖ 》

ノブキ(野蕗)キク科(Aste... ノブキ(野蕗)キク科(Asteraceae)ノブキ属
学名:Adenocaulon himalaicum Edgew.
ノブキ(野蕗);ノブキ属・多年... ノブキ(野蕗);ノブキ属・多年草
北海道〜四国の山地の木陰や谷間などに生える。茎高50〜80cm。
葉は、長さ10~20㎝の三角状腎形、先がやや尖り、基部は心形。
長い葉柄があり、狭い翼がある。葉の裏面には白い綿毛が密生する。
フキの葉に似ているが、葉先がとがり葉柄に狭い翼があることで見分けられる。
頭花は白く、両性花が多数固まってつき、周囲に雌花がつく。
雌花には腺体がある。両性花は結実しない。
両性花が落ちた後に雌花の果実だけ放射状形に残り、
先端部分の柄の太い腺毛が目立つようになる。
そう果は放射状に並び、冠毛はなく、先の方に腺体がある。花期は8〜10月。
花は、美しい。拡大すると驚きを... 花は、美しい。拡大すると驚きを持つ。


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《 雅羅・/・〝里緑地の花  '10-7〟❖ ’24-285 ❖ 》

カリガネソウ(雁草) シソ科(... カリガネソウ(雁草) シソ科(Lamiaceae)
学名:Tripora divaricata (Maxim.) P. D. Cantino 
別名:ホカケソウ(帆掛草)
カリガネソウ(雁草); 北海道... カリガネソウ(雁草);
北海道から九州までの低地の薄暗く湿った林縁に稀に見られる多年草。
普通、花は夏に咲くが、場所等で花期は広く10月にも見られる。
茎高1m前後、触れると硫黄臭を発する。青紫花や斑入葉、桃色花もある。
以前はダンギク属(カリガネソウ属)と分類されていたが、
APGⅢでは、カリガネソウ属(トリポラ属)に分類されている。
和名の由来は花の形を雁の飛ぶ姿に見立てたことから。
短い地下茎をもち、多数の茎を直立させる。茎は高さ60~100cm。
茎は四角柱状で深いくぼみがあり、大きくなると木質化する。
葉は無毛で対生、長さ8~13㎝の広卵形、葉質は薄く葉柄は長い。
縁には普通、よく揃ったきれいな鋸歯があり、先が尖る。
花冠は2唇形、長さ8~10㎜の白い筒部があり下唇は3裂、上唇は2裂。
裂片は開口する。下唇の中央裂片は大きく、あごを突き出した形をしている。
雄蕊4個は長く、花柱1個とともに花冠から上へ突き出て、下側へ湾曲する。
茎の上部の葉腋から集散花序を出し、まばらに沢山の花をつける。
その花達が、群生している姿は楚々としている。



《  こんな処に〝帆掛草〟 ❖泉の森・東部❖  》
**神奈川県植物誌** 5.カ... **神奈川県植物誌**
5.カリガネソウ属 Tripora P.D.Cantino(関口克己,『神植誌 01』:城川四郎)
 多年草.葉は対生,鋸歯があるかまたは全縁.
花冠は筒部があり,先は 5 裂して平開か 2 唇形.
雄しべは 4 個で2 強,長くて花外に突き出す.
花柱は長く柱頭は 2 又する.
東アジアに 1 種があり,日本に 1 種,県内にも 1 種がある.
以前はダンギクなどと共に Caryopteris 属とされていたが,
Cantio et al.(1999 Systematic Botany 23: 369-386)により組み替えられた.
(1)カリガネソウ Tripora divaricata (Maxim.) P.D.Cantino
 多年草.茎は 4 角形,上部で分枝し,高さ 1m に達する.強い臭気がある.
花序はまばらに散開し,花冠は 2 唇形で大きく開口する.
北海道,本州,四国,九州;中国,朝鮮半島に分布する.
山麓原野に生える.比較的稀な植物で,県内では三浦半島が唯一の自生地である.
『神 RDB06』では絶滅危惧ⅠA 類にされた.
近年植栽されたものが横浜市などで採集されている.

*       *       *
解説画像は、借り物。 カリガネ... 解説画像は、借り物。
カリガネソウの花の構造。先端が二又に分かれているのが雌しべで、
黄色い花粉をつけた雄しべは4本ある。
青紫色が美しい秋花のカリガネソウだが、その姿は独特。
受精の為に他の花粉を必要とする植物は、花粉の運搬を昆虫等に頼る。
虫媒花、花粉を運ぶ送粉者(ポリネーター)を引き寄せる施策として、
蜜を溜める。訪れた昆虫に効率よく花粉を運搬してもらうための術。
送粉者のために進化し続けたのだろう。
長い雌蕊と雄蕊が、花粉の受け渡しに実に効率良い形態である。

この場(泉の森)に如何なる運搬者が訪れているかは観察できていない。

泉の森、東上部側の住宅隣接地に群生地がある。
カリガネソウ後ろの泉の森は、徐々にマント群落になりつつある。
カリガネソウを初めとする草花は、袖群落を形成しつつある。
こうした場は、下草苅り等人間が手を貸さねばならない。
里山緑地の保存・保全は、自然(植物等)と人間の共存を意味する。
生態系を重んじ、希少・貴重な植物をも大切にする。
この対処が、自然保護の基本であるとおもう。
自然を愛でる、植物を愛でる、人間との共存共栄だ。


「令和陸年(皇紀2684年)10月15日」
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《 雅羅・/・襍録〝秋=穂!!〟❖ ’24-288 ❖ 》

ヌカキビ(糠黍) イネ科(Po... ヌカキビ(糠黍) イネ科(Poaceae)キビ属
学名:Panicum bisulcatum Thunb.
ヌカキビ(糠黍); 北海道〜沖... ヌカキビ(糠黍);
北海道〜沖縄の畑地や田の畔、道端、空き地等、普通に見られる。
やや群生し、茎高は、30〜120cm、細長く直立、基部は分けつして叢生する。
葉は長さ5〜20cm、幅4〜13mm、無毛。花序は卵円形、長さ15〜30cm。
花序の枝はほとんど水平に開出し、緑紫色の小穂をまばらにつける。
小穂は倒卵形、長さ2〜2.5mm、2小花からなるが第1小花は退化して護穎のみとなる。
第1苞穎は長さ1mm、第2苞穎は第1小花の護穎と同長。
第2小花の護穎と内穎は厚くガラス光沢がある。
果実は広楕円形、突頭、暗褐色、長さ1.5mm。
花期は8〜9月。ーー日本イネ科植物図譜より引用ーー


《 細かい秋の穂〝糠黍〟 ❖泉の森・湿生花園❖  》
** 神奈川県植物誌 ** 和... ** 神奈川県植物誌 **
和名の由来は細かい穂を糠にたとえたものに由。
五穀の一つであるキビの仲間だが、一般的には雑草扱い。
細くまばらな花穂は写真に写すのが難しい.。
機会を改めて、機材を揃えて挑戦したい。




穂・・形態。 穂・・形態。
糠黍・・自生分布図 「令和陸年... 糠黍・・自生分布図


「令和陸年(皇紀2684年)10月14日」
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《 雅羅・/・襍録〝蔓性植物 Ⅱ〟❖ 24-287 ❖ 》

ヤブガラシ(藪枯らし) ブドウ... ヤブガラシ(藪枯らし) ブドウ科(Vitaceae)
学名:Cayratia japonica (Thunb.) Gagnep.
別名:ビンボウカズラ(貧乏葛)
ヤブガラシ(藪枯らし);つる性... ヤブガラシ(藪枯らし);つる性多年草
北海道西南部〜琉球の畑や藪に生え、長く根を伸ばし繁殖する。
若い部分には粒状の突起毛がある。
茎には稜角があり、托葉は卵状三角形で、膜質。
葉は互生し、柄があり、鳥足状に配列する5小葉。
頂小葉は、柄があり、狭卵形で尖る。
波状の鋸歯があり、鋸歯の先は小さな突起になる。
表面は深緑色で、側脈は6〜8対、表面は窪み、裏面は隆起する。
側小葉は頂小葉より小型で、柄も短い。
巻きひげは葉もしくは花序と対生し、先は分枝する。
花序は扁平な集散花序で突起毛がある。萼片は低い。
花弁は4個あり、卵状三角形で、淡緑色。
平開し、背面には突起毛があり、先端は僧帽状。
雄蕊は4個、葯は長楕円形。
花盤は平らに広がり、はじめ紅色、後に橙色に変わる。
子房は1個、花柱は1個、柱状で直立する。
液果は球形まれにややだるま形で黒熟する。種子は広卵形。
関東以西に分布する2倍体のものはよく結実するが、
近畿以東に分布し東日本に多い3倍体のものは結実しない。
別名ヤブガラシ。花期は6〜8月。(野に咲く花)
ヤブカラシの花柄、花序枝、茎、葉裏などに小さな球体があり、
Pearl bodies (真珠体)あるいは Pearl glands (真珠腺)と呼ばれる。
植物体由来の栄養体なのだという。(続・樹の散歩道)


《 何処にでも顔を出す〝藪枯らし〟だが!?! 》
《 雅羅・/・襍録〝蔓性植物 ...
藪枯らしを初め、蔓性植物は往々にして邪魔者扱いだ。
蔓植物は自らの力では体が支えられないため、
他の植物を利用して光のあたる方へ伸びていく植物。
つる植物は様々な方法で、他の植物に絡みつく。
吸盤をつけるものや根を食いこませて張り付くもの、
巻きひげで巻きついていくもの等々(仔細は略)。
だが、蔓植物の巻きひげは、植物における運動や接触王統のモデルとして、
ダーウィンの時代から研究されてきた植物。
最近、藪枯らしに付いて面白い研究・新発見が発表された。
ヤブガラシが接触によって葉っぱを識別し、
自分の仲間たちには巻き付かないという。
--- 以下は、研究論文の概要紹介、以上が主旨  ---
 
仲間の葉と他の植物の葉に同時に接触したときには多種の葉を選択して巻き付き、
多種の葉に巻き付いている途中で仲間の葉に接触した場合は巻き戻る能力を持っている由。
研究の結果、ヤブガラシは葉の中に含まれるシュウ酸化合物によって、
仲間と多種を区別していることが明らかにされた。
つる植物は巻き付くことで成長していくが、
巻き付かれた植物は実は成長が抑制されてしまう。
生き残るために身につけた高度な知恵だと言える。
ヤブガラシ;
ブドウ科のつる植物の1種で、草木や樹木、フェンスなどの人工物に
巻き付き上へ上へと伸びて行く繁殖力の強い雑草。
巻きひげで接触して最適なパターンで対象物に巻き付く。
全方向に巻き付くことができるのが特徴で、
自身の葉っぱに巻き付くことはない。
全周巻きパターンとクリップ型で、
対象に応じた最適パターンを生み出している。
つる性植物は、草でも木でもない第3の植物群として区別されている。
(東北大学理学部助教授・鈴木三男著・「よじ登り植物の生存戦略」より引用・以下同じ)
地上部の茎の部分が1年で枯れてしまう草本性(ヘチマやアサガオ)のものと、
毎年太る木本性(フジやサルナシ)のものがあり、
形態的、生態的にも草と木とは違ったカテゴリーに入ることがわかる。
戦略の要点は・・・
A) つる性植物、即ち「よじ登り植物」がとった一番の戦術は、
丈夫で自立した茎を造るための資材を、長い蔓を短時間に造る方に向けたことである。
B) 樹木は大量の枝葉を支える丈夫な幹をつくるために、
長い時間をかけて形成層の活動で木部を大量につくるとともに、
道管、師管も大量に造成している。それらは葉に水を送り、
光合成産物を他の部分に分配するパイプラインの働きをしている。
C) それに対して、つる植物は繊維組織はわずかで、
しかも大きな道管や師管を少量しか造らない。
太い道管や師管は大量の水や養分を効率よく運ぶのには適するが、
構造上は脆弱である。
花は放射相称で小さく、4または5の数生の完全花。
D) 毎年地上部が枯れる草本性のつると、
木質化して残る木本性のつるがある。
ブドウ科は、木本性のつるになる種が殆どだが、少数の変わり種も含む。
つる性の種は、葉は互生し、有柄、単葉、掌状、
叉は羽状複葉で落葉性の托葉をもつ。 
葉に対生する巻きひげがあり、これが植物体を支える役目をする。
巻きひげは茎の変化したもので、葉と対生している。
栽培ブドウ・ヤマブドウ・ツタ・ヤブガラシなどが仲間内。
2.よじ登るための「つる植物の戦略」
自立できる茎を造らないつる植物は、
他の草や木の上に立つにはよじ登らなければならない。
つる植物の進化の過程で、
その植物群のもつ遺伝的な性質とさまざまな試みの結果として、
いろんなよじ登り方法が生まれてきた。
被子植物に見られるものを類型化すると、次の5タイプが考えられる。
板塀にへばりつくツタの吸盤
・寄りかかり型  ヒヨドリジョウゴ・ツルウメモドキなど
・巻きつき型 フジ・アケビ・など (右巻き・左巻き)
・鉤かけ型 カギカズラ・カナムムグラ・など
・巻きひげ型 ブドウ科・ウリ科・マメ科など
・付着型 キズタ(気根)・ツタ(吸盤)
草本性・木本性にかかわらず多くのつる植物は、
多かれ少なかれ形成層の活動によりつるがだんだん太る。
急速に太る例としてフジがあげられる。
サルトリイバラは肥大成長を全くしない。
また、よじ登り植物の弱点は、寄生者がはびこって宿主が十分に光合成ができなくなると、
折損・枯損・倒木・枯死など致命的なダメージが宿主側に発生する。
宿主の死は寄生者の死に直結するのは明らかである。
運命共同体にあることをつる植物は知らない。
.帆柱山系のつる性植物の要点・・・結構多いんです・詳細は別項へ。
 ワク内にそれぞれの科の要点を、
また★印の項には似たもの同士の対比をまとめ、
つる性植物の項で書き尽くせないものを補足したものです。
マメ科の特徴は、キク科・ラン科に次いで大きな科。
  A) 1枚の心皮からなる果皮が子葉種子を包む、という果実の構造。(子葉をもつ)
  B) 葉は互生し托葉がある、3小葉から羽状複葉が多い。
  C) 葉や小葉の基部に膨らんだ部分があって就眠運動する。
  D) この他に、土壌中の根粒菌と共生して空中の窒素を養分にする。
などが特徴。
 農業上の重要性はイネ科に一歩譲るが、
総合的な有用性はマメ類に勝る植物はない。
利用範囲は多岐にわたっている。利用される種類は極めて多い。
クロンキストの分類体系にに従い、マメ類を3科からなるマメ目としている。
花弁より長い雄しべ雌しべをもつ放射相称花をつけるムネノキ科、
旗弁が内側にあるジャケツイバラ科、
蝶形花をつけるマメ科の3科をマメ目としている。
ネムノキの長い赤紅色の毛は花糸といい、たいていは色がついている。
昆虫や動物には花弁に代わる目印になる。
マメ科の花は蝶形で花弁が3種類に分化する。
目立つ旗弁、黒い斑紋のある翼弁、さらに翼弁の中に小型の竜骨弁がある。
キョウチクトウ科は、その多くは有毒で、有毒成分は200種以上もあるアルカロイドである。
この毒は古くから矢毒として用いられた。
マダガスカル島の乾燥地の主役はバオバオ。
よく似たパキボディウムゲアイは、太く膨らんだ女性的な樹形は、
1年間全く雨が降らないでも耐えうるように水をたっぷり含む。
同じ仲間のニチニチソウ(日日草・日々新しい花に咲き替わることから)はこの島が原産地。
ニチニチソウの薬効成分を抽出するために営利栽培始まる。
このほか身近にはサカキカズラ・テイカカズラ・キョウチクトウなどがあり、
容姿は全く異なるが同じ仲間内である。
4.ガガイモ科とアサギマダラチョウの生活史・・・
ガガイモ科は、虫媒花をを発達させた進化の一つの頂点に立つ植物群と考えられている。
それは5本の雄しべと、内側の2本の雌しべを合着させて
肉柱体という特別な筒をつくっていることと、
花粉を集めて花粉塊という団子を作り出したことによっている。
筒には縦に5本の隙間が開いている。
ペリプロカ亜科・セカモネ亜科は花粉塊をつくらない。
日本には9属33種が知られているが、
いずれもトウワタ亜科で花粉塊をつくる。
花は大きくないが、形・色・香り・の三拍子揃っていて昆虫を招く。
キョウチクトウ科から進化してきたと推測される。
両者は有毒な乳液をもつことや、つる性植物が多いことなど、共通の性質が多い。
ガガイモ・イケマ・フウセントウワタなどが同じ仲間。
イエライシャンは中国原産のつる性植物で、花の香りは脂粉のようだという。
花は野菜として扱われ、民間薬にも利用。
◆ アサギマダラ蝶の生活
有毒なカガイモ科植物を食草としているのが、マダラチョウの仲間である。
アサギマダラは九州南部から本州中部の山岳地にかけて
渡りをするらしいことがわかってきた。
低地では幼虫の状態で常緑のキジョランの葉で越冬する。冬の宿。
春になって気温が上昇すると、幼虫はキジョランの葉を食べて成長し、
やがて羽化して夏場の生活地である山岳地へと登っていく。
5月末頃の山岳地では、イケマが地中から新芽を伸ばしてくると、
さつそくイケマの若葉に産卵する。
5.よく似たツル性の対比で、見分けのポイントを
★ イワガラミと〈ツルアジサイ〉の対比
ユキノシタ科〈ユキノシタ科〉・葉は対生〈対生〉
・葉身は広卵形〈楕円形~長楕円形〉・葉柄は3~12㎝〈3~9㎝〉
・葉脈上に粗毛・裏面脈上に軟毛・〈粗毛・裏面脈上に軟毛〉
・葉縁は大きな鋭鋸歯〈細かい鋭鋸歯〉・葉先は鋭尖頭か鋭頭〈急に鋭頭〉
・花は5~7月〈5~6月〉・装飾花1枚〈4枚〉
★ アケビと〈ムベ〉の対比
アケビ科〈アケビ科〉・落葉性灌木〈常緑性藤本〉
・5小葉の長柄掌状複葉〈5~7個の掌状複葉〉
・全縁で先端凹頭〈先端は尖る〉
・雌雄同株〈雌雄同株〉・花期4~5月〈4~5月〉
★ キヅタと〈ツタ〉の対比
ウコギ科〈ブドウ科〉・常緑性灌木〈落葉つる性藤本〉・別名フユヅタ〈ナツヅタ〉
・気根で登る〈巻きひげは分岐し先端に吸盤がある〉
・樹皮は灰色〈黒褐色〉・花序のつく枝の葉は楕円形で全縁
〈花序のつく短枝の葉は大きく長柄で3裂し先端は鋭く尖り、縁は芒状の鋸歯がまばら〉
・互生で葉身は掌状に浅く3~5裂〈花のつかない長枝の葉は小さく短柄、
きれ込みはないもの~3裂〉・花期は10~12月〈6~7月〉
 
“ヤブガラシに学ぶ植物型スマート構造の開発”
--植物の情報処理のメカニズムをロボットに活かす--
光を求めて他の植物や人工物に巻き付いて成長するつる植物。
神経系をもたないのに、対象物に応じて最適な巻き付きパターンを生み出している、
ヤブガラシに学ぶ植物型スマート構造の開発とは?
人工構造物に生体の脳、神経、筋肉などと同じように、知覚や判断、
応答という機能を持たせて状況に応じた自律的な動きを可能にするスマート構造。
これまでは、センサで感知して神経系で情報処理を行い、
モーターに情報をフィードバックして作動する、
いわば動物型のメカニズム開発が主流でした。
そこに、視覚や神経系をもたないのに環境に適応して生育する
植物規範を取り入れたユニークな研究が行われています。
研究対象となったのは、つる植物の1種であるヤブガラシという雑草です。
他の植物や柵などの人工物に巻き付き、自身のからだを支えて上へ伸びて行きますが、
つかむ相手に対して巻きひげを変形させて最適なパターンで
巻き付くという非常に複雑な動きをしているのです。
これまで、巻きひげの動きを詳細に観察したところ、
巻き付く相手の直径が細い場合はつるを全周に巻く(通常巻き)、
直径が太く巻きひげが長い場合は途中でUターンしてクリップ状になる、
直径が太くて巻きひげが短い場合は巻き付くのをあきらめて離れて行く(先端のみ接触・離脱)
という3つのパターンに分類できることがわかりました。
非常に合理的な巻き方をしていることが明らかになったのです。
さらに、巻きひげへのマーキングと画像データ解析により3D座標データ化を進め、
パターンの違いがどのように生じてくるのか、そのメカニズムの解明を進めています。
植物は神経系を持っていませんが複雑な動きを可能にしているのは、
巻きひげ自身がセンサとして、同時にモーターとしての役割りを担い、
独立的に判断して最適なパターンを生じさせているためだと考えられるのです。
この情報処理と動きのメカニズムをスマート構造に利用できれば、
複雑なセンサネットワークや情報処理系統のない、
植物規範のシンプルな機械ができるのではないかと考えられています。
将来的に、たとえば内視鏡手術用のガイドワイヤーなど、
アクセスが難しい場所で自在に動く植物型ロボットが生まれるかも知れないのです。
斉藤一哉 助教 東京大学 生産技術研究所
深野祐也 助教 東京大学大学院 農学生命科学研究科
“植物規範で従来にない機械をつくりたい”
斉藤の専門は、機械工学・航空宇宙工学です。
コンパクトに収納して宇宙で展開する構造物など、
形状可変構造物をつくっています。
そこで、生物の変形に興味をもち、
昆虫の翅(はね)の折り畳みの研究なども行ってきました。
今回は、植物をターゲットに共同研究を進めることになりました。
 深野の専門は進化生態学という分野で、
生物がどのように環境に適応して生き残ってきたのかを研究しています。
もともとは、植物が周りの個体とか、植物を食べる昆虫の情報をどう手に入れて、
どう生き延びているのか研究していました。
現在は、植物がどのように他の植物を認識しているかを化学的に解明しようということで、
ヤブガラシに注目しました。 
アプローチが異なるので、共同研究は新鮮ですね。
植物に学ぶことで、これまでとは全く違うシステムの機械ができると考えています。
 
 
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