文庫本のタイトル『暗渠の宿』は、2007年第29回野間文芸新人賞を受賞した作品で、『けがれなき酒のへど』と2編が収められています。
第144回芥川龍之介賞を受賞した『苦役列車』を原作とした映画が、7月14日(土)に封切られるのを機に読んでみました。
山下敦弘監督で、元AKBの前田敦子が、ヒロイン役で出演しています。
昨年の芥川龍之介賞を 『共喰い』 で受賞した田中慎弥も、受賞後のスピーチで数々の問題発言をしておりましたが、この西村賢太も受賞後、「風俗店へいきたい」と喋っていたのを、『けがれなき酒のへど』を読みながら思い出してしまいました。
この作品、単純にいえば持てない男が夢のある恋愛感情を持ちながら、デリエルの女性には嫌悪感を持ちながら、ソープランドの女の子に入れ上げ、100万円ほどのお金を騙されて取られるお話です。
『暗渠の宿』は、ようやく女と結婚生活を始めるものの、自分大事主義が前面に出る男の破滅的な生活が描かれています。
学歴は公立中学校卒業の著者の、屈辱にまみれた小心者の心の動きが、これでもかと自虐的に描かれています。
「私小説」という冠が付けられていますが、ここまであからさまに自分自身の醜さを描き切られると、拍手を送りたくなる一冊です。
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Posted at 2012-06-28 11:38
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Posted at 2012-06-29 02:17
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