今年の読書(22)『トギオ TOGIO』太郎想史郎(宝島社)
Feb
17
ミステリーというよりは、近未来のSF小説といった趣があり、謎解きを期待する人には馴染めない物語ですが、なんとも不思議な世界を味わえた一冊でした。
口減らしのために捨てられた<白>を家に連れ帰る主人公は、家族ともども村八分に遭い、学校でもいじめに遭います。
<白>の姉は、酌婦として売られていく状況は、100年前の日本を思い起こさせますが、「オリガミ」などという電子マネーや情報端末機としての先進的な道具が物語の鍵として登場したりして、読み手は年代設定を訝りながら物語を読み進まなければいけません。
「トギオ」は大都会「東暁(とうぎょう)」を表し、まさに映画『ブレードランナー』を想わせる貧富の格差の激しい象徴として比ゆ的に登場させ、唐突な結末に終わるのですが、印象に残る文章力で最後まで読まずにはおられませんでした。
荒削りなところあり、説明不足な印象もぬぐえませんが、作者の次作を期待してしまいます。
Posted at 2013-02-17 07:30
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Posted at 2013-02-18 00:41
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