今年の読書(30)『リミット』五十嵐貴久(祥伝社文庫)
Mar
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番組ディレクターの<安岡>は、小学生の我が子をいじめが原因で自殺させてしまった過去を持っているだけに、なんとかこの自殺志願者を助けようと局の上司と掛けあいますが、放送局には関係ないと相手にしてもらえません。
番組のパーソナリティーは尼崎出身のカリスマ芸人のひとりである<奥田>ですが、<安岡>の気持ちをくみ取り、放送中に自殺志願者に挑発的な言葉を投げかけ、なんとか手がかりを探そうとしますが、コクコクと番組の終わる午前3時が近づいていきます。
この<奥田>が放送でしゃべるのが関西弁で、これが非常にいい効果をもたらしていました。標準語では自殺志願者に対する呼びかけは弱く、「このクソガキ、出てこんかい」という歯切れのいいしゃべりが、放送終了時間があるなか非常に緊張感を高める役割を果たしていました。