<田辺聖子>の小説は大阪府生まれの作家として、関西弁が生きていますので、肩が張らずに読めます。
本書は8話の短篇が収められていますが、どれも関西の名物料理を中心に置き、各短篇に登場する40代の男はそれぞれに好物料理に固執する性格を持ち、現実的な考え方をする女性陣達に喧々諤々としながらも、「所詮人生なんてこんなもんだろう」という喜怒哀楽を漂わせながら、ユーモアたっぷりに描かれています。
登場する料理は、「おでん」・「きつねうどん」・「すき焼き」・「お好み焼き」・「くじら」・「たこやき」・「てっちり」・「白味噌汁」等、どれも関西ならではの構成です。
<タベモノは何でも、一緒に食う相手によるねんな>という台詞が、『たこやき多情』の中に出てきますが、まさに相槌を打つと共に言い得て妙の食と恋の短篇集でした。
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