異母兄弟のルポライターの兄36歳の<渡部研吾>が、取材先の奈良で消息を絶ったと、たった二度しか会ったことのない<研吾>の彼女である<君原優佳利>に誘われ、わたし<静>は二人で兄を探しに東京から奈良まで出かけていきます。
<研吾>の取材ルートにそって消息を尋ねていきますが、偶然<優佳利>と称している人物が<研吾>と<優佳利>の高校の同級生<藤島妙子>だとわかり、<静>は<優佳利>の自動車事故死が<研吾>の彼女への嫉妬心からの自殺ではないかと感じ始め、<妙子>は5歳年下の<静>が<研吾>の思いを寄せている人物ではないかと考えています。
父が亡くなった葬儀の場所で、幼い<静>は腹違いの兄<研吾>がいることを知らされますが、以後<静>の母は二人に対して差別することなく接してきていたことがひとつの伏線になり、また<研吾>は童話や寓話を手帳に書き留めて集めていましたが、文中に『愛のサーカス』という話しが、読後にこれまた大きな伏線であることに驚かされてしまいました。
歴史ある奈良の街を舞台に、<男と女>の恋愛感情をミステリー仕立てに構成させ、最後の結末に余韻を残しての終わり方はなんとも切ない気分に陥ります。
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