『FUTON』中島京子(講談社文庫)
Dec
19
西海岸にある大学で日本文学を教える<デイブ>は46歳、妻と離婚して息子<ティモシー>を二人で交互に面倒をみていますが、<デイブ>は日系人の21歳の<エミ>を恋人として付き合ったいます。また<エミ>は、日本人留学生であり「カンバセーション・パートナー」の<コンドウ・ユウキ>とも関係を持っており、夏休みを利用して彼に付いて日本へ渡ってしまいます。
運よく<デイブ>に日本での学会の講師の話が舞い込み、<エミ>が立ち寄りそうな祖父のサンドイッチ店に毎日顔を出しますが、<エミ>は現れず、画家の<イズミ>と知り合います。
<イズミ>は、<タツゾウ>の父である95歳の<ウメキチ>の人生に対して心動かされ、絵のモデルとして接していましたが、<ウメキチ>は<エミ>に戦争中に知り合った<ツタ子>の話を語り続けますが、本当かどうかの真意は分かりません。
冒頭に述べましたように、文中には「小説内小説」として<デイブ>が書いた『蒲団』を本歌取りした『蒲団の内ち直し』が随時挿入され、時代が変わっても、男と女の基本的な関係は変わらないのを感じつつ、本書を読み終えました。