今年の読書(54)『クローバー・レイン』大崎梢(ポプラ文庫)
May
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本書も大手出版会社<千石出版>の編集部に勤務する29歳の<工藤彰彦>を主人公に据え、出版業界の裏側がよくわかる内容でした。
とある出版パーティで<工藤>は、酔った作家<家永嘉人>をタクシーで自宅まで送り届けます。その時に書き上げられていた『シロツメクサの頃』の原稿を読み、夜間中学を舞台にした素晴らしい小説に惚れ込んでしまい、周りを巻き込みながら何とか出版しようと努力を重ねていきます。
作家<家永>の<娘>(冬実)との関係、ライバル会社の編集員<国木戸>、10歳しか違わない伯父<尚樹>の過去などの人生ドラマを横糸に絡めながら、一冊の本に掛ける<工藤>の情熱がヒシヒシと伝わってくる一冊でした。