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- 今年の読書(36)『彷徨捜査』安東能明(祥伝社文庫)
本書は、『撃てない警官』 に始まる<柴崎令司>シリーズに次ぐ、<疋田務>シリーズの3作目です。
赤羽署管内の教会とスポーツジムにおいて、身元不明の認知症と思われる老人4人が突如として出現。マスコミにて情報公開されますが、家族は一向に名乗り出てくる気配もなく、生活安全課の<疋田務>と<小宮眞子>は、彼らの会話の訛りと指先の怪我で工場関係者ではないかとのあたりを付けて、宇都宮の工場団地へと出向きます。
老人ホームや工場関係をシラミつぶしの聞き込みのなか、一人の身元が判明。やはり工場勤務の経験がありました。
なおも企業組合の事務局にて捜査を進めていくうえで、組合の企業年金に絡む横領事件が判明します。犯人と思しき事務長<田中>は行方不明。<疋田>たちは、横領事件と老人の拉致事件が絡んでいるとして、捜査を進めていきます。
タイトルの「彷徨」は、認知症特有の「俳諧」を意味しているようで、現代社会を反映した事件構成に考えさせられる一冊でした。
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