今年の読書(24)『刑事のまなざし』薬丸岳(講談社文庫)
Mar
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本書には、表題作を含む7編の独立した短篇が納められています。
罪を犯した少年たちの心に寄り添い、その更生の手助けになる仕事がしたいと法務技官になった主人公<夏目信人>は、一人娘が通り魔事件の被害に遭い、植物状態になったことをきっかけに30歳の時に警察官に転職した過去を持っています。6年後、東池袋署の刑事課に配属され新人刑事となった<夏目>の刑事としてのまなざしは被害者の痛みを知る優しさと罪を憎む厳しさを湛えていました。
少年院の過去を持ちながら真面目に働こうとする青年、父親に虐待された女の子、ホームレス殺人、などの事件を通して、何気ない言葉使いやしぐさで、事件の本質に迫る<夏目>の「やさしいまなざし」が随所に光る短編集でした。