閉館「水月ホテル鴎外荘」@東京都台東区池之端3丁目
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鴎外の旧邸が敷地内にある老舗は宿泊などのキャンセルが相次ぎ、約80年の歴史に幕を引きます。おかみとして切り盛りしてきた<中村みさ子>さん(62)は「旧邸を守るのが私たちの使命。会社の体力があるうちに」と、決断の理由を語っています。
樹齢300年のカヤやクロガネモチに囲まれた旧邸は、築約130年の純和風の木造。20代後半の<鴎外>が最初の妻<登志子>と新婚時代を過ごし、『舞姫』・『うたかたの記』・『於母影』などを執筆しました。
旅館は943年、旧邸の隣に、前身の「水月旅館」として創業。3年後、売りに出されていた旧邸を保存するため創業者が購入し、現在の名前に改めました。都内第1号と認定された天然温泉は今も人気です。
東日本大震災後の不況も乗り切りましたが、新型コロナで売り上げは前年の約1割に落ち込み、今月中旬、「これ以上経費がかさむと、倒産して旧邸を守れなくなる」と、5月31日での閉館を決めています。旧邸をこのまま敷地内で保存するか、別の場所に移築するかは未定だと言います。