ファルコン植物記(2051)【キキョウ】(5)
Jun
20
【キキョウ】は6月ごろから咲く、日本でも古くから 「秋の七草」 の一つとして親しまれている植物です。清々しい青紫色をしている星形の花で、日本でも古くから親しまれている植物です。
万葉の時代から観賞されていました。かなり早くから園芸品種が成立していたらしく、<貝原益軒>の『花譜』(1694年)に「紫白二色あり。(中略)八重もあり」と紹介されています。また、1年後に刊行された『花壇地錦抄』(1695年)には 絞り咲き や各種の八重咲き、「扇子桔梗」と名づけられた帯化茎のものなどが取り上げられています。
江戸時代には、現在は見ることのできない「緑色の八重咲き」や「濃い黄色」、花弁が基部深くまで切れ込んでそれぞれが外側に丸まってウサギの耳のような形になる「兎耳桔梗」、花弁が平皿のような形になる「紋桔梗」などのほか、現在も見られる 「桃色」 や「ウズキキョウ」、「早咲き」のものがあったと記録されています。
残念ながら、これらの多様な【キキョウ】の園芸品種は、その多くが明治の中ごろまでに絶えてしまいました。現在は矮性の小型で草丈10~20センチ程度の品種「アポイギキョウ」、葉がちりめん上になるひんぢゅ「ウズキキョウ」、5月から6月に咲き始める早生種「早生の五月雨」、袋咲き(花が最後まで開かない)「小町」のほか、「八重咲き」や「二重咲き」、またいくつかの色変わりがあるにすぎません。