本書『赤い砂』は、著者の2005年のデビュー作『いつか、虹の向こうへ』(角川書店)以前の2003年に書かれていましたが、出版されることなくてもとにおかれていた作品ですが、この新型コロナウイルスの影響で、「ウイルス」を扱ったないようであることにより、2020年11月10日に文庫描き下ろしの形で発行されました。
国立疾病管理センターに勤める「阿久津久史」が突然山手線の電車に飛び込む事件が発生、2週間後に飛び込み現場の現場検証に出ていた鑑識係の「工藤」が、警官の拳銃を奪い自殺をしてしまいます。そして、拳銃を奪われた警官も、飛び降り自殺で亡くなってしまいます。
警察署内の不祥事を穏便に済ませようとする上司たちの態度に不満を持ちながら「工藤」の同期の刑事「永瀬遼」は「工藤」の自殺が信じられず、捜査の傍ら事件の真相を求めて動き出します。
事件の背後には、西寺製薬を中心とする新型ウイルス「アレナ・ルブラ=赤い砂」と呼ばれ、感染後2週間で自制心の欠如や錯乱を引き起こす薬にまつわる陰謀が隠されていました。
ひとり真相を突き詰めてゆく「永瀬」でしたが、最後は犯人逮捕まで追い詰めていきますがその過程で自らも感染したかもしれず、「永瀬」は最後の行動に出ます。
発病が2週間後というウイルスを中心にすえた医療サスペンスでもあり、熱血漢溢れる「永瀬」刑事の活躍するクライムサスペンスでもあり、結末が気になりながら、最後まで楽しめた一冊でした。
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