今年の読書(26)『イエロー・エンペラー』吉川英梨(宝島社文庫)
Mar
22
シリーズとして間が飛んでしまいましたので、関連する事件や登場人物の背景が心配でしたが、本書単体でも十分に読み応えがありました。
警視庁捜査一課八係に所属する「原麻希」は、連続殺人事件を首謀したと思われる極右翼組織「大日本皇桜会」の「椿聖一郎」の捜査をすすめていました。そんなある日、自宅で偶然に催眠術の番組の生配信を見ていると殺人現場が放送され、あわてて現場に向かうも単なるショー番組でした。
しかしその裏には「椿」の殺人事件への陰謀の幕開けでした。「椿」事件の捜査と並行して、元恋人の「広田達也」刑事のパニック障害の催眠治療の様子が描かれ、大学の時から26年経つ現在までの「達也」と「麻希」の関係がせつなく描かれています。
パニック障害の本当の原因はなんなのか、「椿」によって引き起こされた事件の真相の究明は、最後まで面白く読め、次回13作目へと期待がかかります。