今年の読書(79)『沈黙のパレード』東野圭吾(文春文庫)
Sep
28
突然行方不明になった定食屋の19歳の看板娘「並木佐織」が、ゴミ屋敷と呼ばれる住宅の火災あとから住宅に住んでいた老人の白骨化した焼死体と一緒に遺体となって発見されます。
容疑者はかつて「草薙」刑事が担当した23年前の少女殺害事件で無罪となった男でしたが、今回も証拠不十分で釈放されてしまいます。さらにその男が、堂々と遺族たちの店に現れ「恐喝」に近い言動をとったことで、かっての「佐織」の恋人や「並木親子」に同情を寄せる商店街の人たちを「憎悪と義憤」の思いに駆り立ててしまいます。
そんな折、町中を熱狂させるコスプレパレードが主体の商店街の秋祭りの季節がやってきます。
犯人だとわかっていながら自白が取れないまま無罪となった「蓮沼寛一」に対して、仇討を計画する面々が、パレード当日の復讐劇はいかにして遂げられたのか?、殺害方法は?、アリバイトリックは?、超難問に突き当たった「草薙俊平」と部下の「内海薫」は、過去の事件でもお世話になった物理学者「湯川学」(呼び名ガリレオ)に助けを求めます。
二転三転する後半は面白い構成でしたが、推理小説の事件に関係することはすべて読者に提示しておくという決まりからは外れているのが、『マスカレード・ナイト』の結末と同様に気になりました。