今年の読書(68)『ミカエルの鼓動』柚月裕子(文春文庫)
Dec
21
今年は、著者<柚月裕子>の『朽ちないサクラ』を原作とする映画『朽ちないサクラ』が、2024年6月21日より公開されていますが、好きな作家のひとりとして手に取りました、文庫本最新作としての『ミカエルの鼓動』は、2021年10月に単行本が刊行され、2024年10月10日に文庫本が発売されています。
北中大学病院に勤務する「西條泰己」は、手術支援ロボット「ミカエル」による心臓外科手術の最先端医療の第一人者です。
そうした彼の前に、病院長「曽我部」が、ドイツのミュンヘンハートメディカルセンターから同じ心臓外科医として「真木一義」を引き抜き、彼の目の前で「ミカエル」を用いない完璧な手術を行います。
そうした彼の前に、病院長「曽我部」が、ドイツのミュンヘンハートメディカルセンターから同じ心臓外科医として「真木一義」を引き抜き、彼の目の前で「ミカエル」を用いない完璧な手術を行います。
そうした対立の中、心臓に難病を抱える12歳の少年「白石航」が転院してきますが、「西條」の「ミカエル」での弁置換手術の提案に体して、「真木」は従来の開胸手術を提案しますが、その手術方針をめぐり、二人は激しく対立します。
「ミカエル」を用いた手術が決まりますが、「西條」の周りで、フリーライター「黒澤」の取材に対して、病院側の対応に不信を抱く最中、「ミカエル」を用いた手術のミスで、仲間の医師が自死、「西條」は「黒澤」から、「ミカエル」には欠陥があると教えられます。
万が一のことを考え「西條」は手術の助手に「真木」を指名、万が一「ミカエル」の不具合に対して、開胸手術の準備をしておぺをすすめますが、やはり「ミカエル」に誤作動が生じます。
病院という組織の運営と経営を背景に勤務医としての矜持を持つ「西條」と「真木」の医者としての生き方を絡み合わせて医学界の現状と未来に斬り込んだ540ページの長編、面白く読み終え、この作品も映画化にならないかなと思わせる、医療の在り方、命の意味を問う感動作でした。