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詩は元気です ☆ 齋藤純二

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悲しきゴジラ

thread
我々の豊かな暮らしへ
原子の力は明るく応えてくれた

目に見えないその存在に
愛着がわく具現物が欲しかった

だがお前の力は
我々を脅かす存在になった

ゴジラよ
今まで我々の味方だったはず

なぜ
共存を拒むのだ

なぜ
暴れるのだ

破壊し続けながら進化を遂げる
その生き方は悲しみへと進む産物であった

愛情なく生まれた怒り

そして今
被害を食い止めるため
冷却により自らの手でその動きを止めた

ゴジラよ
お前をつくり上げたことすら
間違っていたのだろうか

ゴジラよ
冷たくなったお前を見ると
虚しき中を愚かさだけが暴れ出す


#詩

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詩千屋

thread
さあ さあ
いらっしゃい
いらっしゃい
今日はとびっきりの詩が入ってるよ
そこのお嬢さん
湿気た面していたら
イケメンも振り向かないよ
北海道から入荷した
この『恋の成就記念日』を読んでみな
新しい恋が始まるよ
読まなきゃ損、損
さあ さあ
読みねえ
読みねえ
ここの詩はみんな
金なんて要らねえよ
ほら
持ってけ泥棒

そうかい
ありがとうよ

うれしいねえ
毎度あり


いらっしゃい
いらっしゃい
叙情詩に叙景詩に叙事詩
新鮮な擬人法の散文詩もあるよ
そこのお兄さん
難しい面していたら
旬を味わえねえよ
この『蜘蛛の糸のハンモックの上の初冬』を読んでみな
とびっきりワイルドに魂を焦がせるよ
読まなきゃ損、損
さあ さあ
読みねえ
読みねえ

そうかい
ありがとうよ

お客様は神様です
毎度あり


さあ さあ
いらっしゃい
いらっしゃい
本日最後の作品だ
残り物には福があるよ
この『晩餐の毎日』を読んでみな
身も心もスカッっと元気で
明日の活力になることは間違いねえ
おっと
そこの仏頂面の社長さん
サービス サービス
読まなきゃ損、損

さあ さあ
読みねえ
読みねえ

あいよっ
毎度あり

これにて完売
明日も新鮮な詩を
お待ちあれ

毎度

#詩

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階段をおりれば

thread
タタン タン タン
ピアノの黒盤を飛ぶように

だって
あなたの笑い声が教室に響き
しあわせがひろがって

あなたはわたしの名前を呼んで
英語の教科書を見せ
これっ
なんて読むの
って

ただ
それだけなのに
それだけでない思い
胸が痛くなって

いつも夢に向かっているあなた
たいそうな夢もないわたし

だからかもしれないけど
伝えることもできないアイラブユーを
夢みてしもうのかも

放課後
夢みる階段ではずみ
恋のメロディを口ずさむわたし

明日も
また
あなたに逢える
今はそれだけで

#詩

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ティミッドワーカー

thread
前に進むムーンウォーク
ぎこちない朝の始まり

いつものコンビニストア
いつものお兄さん

おにぎりは別にしますか

ああ すぐに食べるから

手にしたおにぎりで
ズボンのポケットをふらませる私
一向に芝居が上達しないふたりの会話

階段か
エスカレーターか

優柔不断なティミッドワーカー
結局 エスカレーターだ
下腹に手をやり
まだこれなら・・・
おにぎりを頬張り
根拠のない大丈夫保険に入る

ひじ鉄が私の背中に
ゴリゴリくる
メガネを曇らせ
車内で小競り合い
私はそいつの頭を
叩いてるイメージで
飽和状態寸前

でも
私のチンケな良心が
しつこく囁く
ここは我慢しろ
ここは我慢だ
お前には家族がいるんだろ
我慢だ

まあ ケンカする度胸もないけど

あの あのですね
その肘が背中にあたって
とても痛いのですが・・・

混んでるんだからよ
グチャグチャ言うんじねえよ

はい すみません

なぜか私が謝っている
気弱なティミッドワーカー

電車は新宿を抜ける
私から二十センチ範囲内には
もう誰もいない
そう誰もいない
ここは
私のアナーキーエリアだ
四分の一畳の幸せにホッとする

んっ
お嬢さんが
私の顔をちらり
またちらり

これはあのお笑い芸人の

それって
おいらに惚れているんじゃないの


ドンピシャで
頭の中 ハモっている私
やはり自惚れティミッドワーカー

それって
お嬢さんの知り合いに
似ているだけじゃないの

また頭の中でハモっている
天然ティミッドワーカー

なんだかんだで
やっと職場に着く
更衣室にはまだ誰もいない
ひとりで寂しいティミッドワーカー

もうそのティミッド何とかという
ノリはやめようぜ

自分ツッコミ

つり革にぶら下がった
手にはバイ菌
私にはよく見える

ああ 気持ち悪い

洗面台で
ブクブク泡立てて手洗い
そして
今朝もヘアがキマっているのか
鏡をチラリんと

あっ
キマって・・・

てっ言うか

大きなごはん粒
ほっぺに
付いてるじゃないか

これか・・・
あの時のお嬢さんは・・・
私のことを・・・

なんだか

なんだかだな

ふっう

説明しようもないため息
すでに疲れた
私は恥ずかしの
呆れたティミッドワーカー




まあ それでも結構
朝のイベントを楽しむ
懐の隙間はまだあるようだ

そう 私はポジティブな
ハッピーヤッピーヒッピーポッピーピッピー
ティミッドワーカーさ




おいおい
朝から意味不明だし


#詩

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見えないプラスチック食

thread
どうやら水素が
二重結合された炭素に
トランス状態で付いていると
ヤバい、らしいよ

パクパク
僕ら日本人はいつの間にか
腐らない食物を摂取して
便利さ
手軽さ
安さ

副作用がジリジリと
現れ出しているんじゃん
なんて言われているよ

僕は専門家じゃないから
正確なことはわからないけど
なんだか
ヤバい、らしいよ

一度
疑ってみても
いいんじゃない
カラダに入ってしまう
食物のことだから

そういえばこの間
冷蔵庫に入っていた
一ヶ月前のコンビニ弁当
ビニール袋に入っていたから
つい忘れていたんだ

やっちまったよ

そう思い弁当の様子を見ると
ご飯にカビが生えてないし
唐揚げも美味しそう
匂いも腐っていない感じ

これって
オモチャ弁当
プラスチックかよ

そんなことあったっけなあ

ああ、怖っ

そのうち僕らのカラダも
プラスチックになっちゃうんじゃない

見えないから
オバケみたいにゾッとする

調べよう、っと
得体の知れないというのが
一番怖いからね
それを
見えるようにしないとね

うーん
塩分
糖質
は、マークしていたが

ノーマークだったよ
トランス脂肪酸

知らなかったの僕だけ?

#詩

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愛とは

thread
愛を知らぬ者の
愛という言葉は
空気に触れた瞬間
嘘という言葉に変わる

父の口から
愛という言葉を
一度だけ聞いたことがある

母親は俺を産んで
すぐに逝ってしまった
おっぱいを欲しがる
赤ん坊を残して
どれだけ無念だったか
「どうかこの子が
幸せになりますように」
そう願ったことだろう
それが俺の信じている愛だ

父の口から吐きだされた愛の言葉
私の中にあっただろう愛のカタチは
いとも容易く崩れ堕ちた
二十歳の私はまだ愛を知らぬ者だった

戦争を体験している父親世代
愛なんて言葉は小っ恥ずかしいから
吐き出さないのだと思っていた

それは違っていた

愛とは別格の言葉

愛は心のずっと深いところに
途轍もない優しさで燃えている
容易く吐き出し
冷やすものではないと
父から教わった

#詩

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桜色の恋文

thread
2030年4月
国から一通の恋文
まさか老体の私にこれが来るとは

子どもの頃
叔父の洗脳されていた話を思い出す
命を捧げることに疑問など持たなかったという
自分も国のためにバンザイと突っ込んでゆく
そんな歴史を繰り返す時が来た

何てことだ

今まで社会のために骨身を削り
ヨタヨタになるまで働き
家族の幸せを信じて
闘ってきたんだ
そんな私にも

あなたを愛しています
だからもっとお国を愛しなさい
弛まない志しで弾丸になりなさい



明日
軍隊が迎えに来る

衝撃は
恐怖に変換され
膨張し続け
ことの次第を把握すれば
バンッ
音を立て現れしは

怒りだ

政治に無関心だった自分への
怒りだ

手遅れの怒りだ

今まで何を勉強してきたのだろう
何のために生きてきたのだろう
なぜ流されてしまったのだろう

Love and Peace
この国は夢の島だったのか
悲しい歴史を乗り越え
辿り着く筈だったのに

弾丸になることで
見知らぬ国のひとを苦しめ
私は何処へ行ってしまうのだろう

愚かに繰り返す殺人兵器の一部になり
桜散ることを勇敢だと讃える
この国

いや違う

この国の本音は
桜色の恋文に花びらを散りばめて
歴史を繰り返し遊びたいだけなんだ


すべての心を失う
此れ無情

明日
軍隊が迎えに来る

桜咲く頃
桜の木は一本も無い

#詩

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天空の図書館

thread
僕は天空の図書館にいる
人の上、車の上、ビルディングの上
誰にも届かぬ遠いところで
真っ白なページの雲を読んでいる

そよそよと感じてくる柔風
程よいほどの光のシャワー
僕のエッセイに希望を与えてくれる

誰もいないのに寂しくない気持ち
読書の時間は静かに優しく

見知らぬ鳥がめくったページに現れる
僕と同じ高さで飛んでいても
違和感などありません
もっと天高く翼を広げて飛んで欲しい

僕よりもお日様は低いところで
足元を照らし始めている
暗くなってはたいへんと月が光りだす
読書の夜は幸せだけが微笑んで

誰もいないのに嬉しくなる気持ち
天空の図書館は愛しく夢みる

#詩

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さらりさらさら

thread
さらりさらさらさらり風
さらなる旅路にさらりと吹いて
僕はさらりさらりと進みたい

さらりさらさら
さらりさら
さらりさらさらさあらさら

立ち止まる気はさらさらないよ
さるものは追わないように
さらりさらさらとさようなら

さらりさらさら
さらりさら
さらりさらさらさあらさら

さらさらさらさらり風
次の街へさらにさらさら吹いて
さらりさらさらさようなら

さらりさらさらまた会う日まで
さらりさらさらさようなら

#詩

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遠近両用メガネと首の関係

thread
遠近両用のメガネに慣れてしまう
もう近視だけのものには戻れない

老眼に合わせた度はレンズの下部
階段を降りる時に頭が下になると
近距離を老眼の目で近視用で見る
段差が歪んで見え転けそうになる

だから目だけを動かし下を見てる
すると頭を下げない習慣がついて

ダブレットや本を読むときも同じ
頭を下げない姿勢を保つ事になり
首への負担を軽減してくれるから
頚椎を痛めた私にとってはとても
遠近両用のメガネは快適な道具だ

電車内では皆さんが首を下げては
スマホの画面を目で追うのだから
ストレートネックを促進している
そんな気がしてくるこの頃である

老眼になり悪い事ばかりではなく
姿勢を正すことの出来る遠近両用
なんと素晴らしいハイブリッドな
矯正器具に出会ってしまったのか

#詩

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