アフリカで旅人が トラックの荷台に乗っている そんな映像を見ていた 轍のある土の道沿いには ぽつんぽつんと家が建ち、村がある 歪んだアスファルトの道沿いには 家や店が建ち、町がある そうか 道が村や町をつくり 生活の地図を賑やかにするんだ ひとが歩き、自転車が走り バイクが走り、自動車が走り トラックが荷物を運び都会をつくり ひとが目的を果たす道がある 道をつくることから始め 私たちは歩きだす生き物なのだろう
ごぼうや里芋から土の匂い 大地の神秘を感じながら 皮を剥いていく 豚肉を炒め 野菜を炒め 出汁を入れて灰汁をとり 生姜も入れてみよう 冬にはこれだよな 台所に椅子を持ち込み 音楽を聴きながら 夕ご飯の支度をしている 毎日のことだから 楽しくやろうじゃないか 台所はピカピカにして 気持ちよく手際よく たまに言ってくれる 家族の「美味しい」を励みに 今日も台所でトントンと 包丁の音を響かせて 味見をすれば 不安と期待を想像しながら 味噌を少し足してみる よしこれで決まりだな おーいㅤご飯だぞ 手は洗ったか ご飯は自分でよそってくれ ああ箸もよろしくな それじゃㅤいだだきます
ぜひ 聞いてほしいことがある 僕にとっては重要事項 満たされないと狂ってしまいそう そんな話があるんだ カレーライスを食べたい そこは我慢ができる でも ラーメンを食べたい そこは我慢できない しかも 朝起きたらすぐに この気持ちを抑えきれない 初恋の彼女を想う気持ちなど 比にならないほど愛おしい ああ、ラーメンよ 冷たいメンマを箸で沈め 麺を掻き出すと湯気があがり 汁から飲む? いや、ラーメンは麺からでしょう ズルズルと音をたてて すぐに飲み込まないように 噛むことを心がける 少しニンニクを足して ごめん臭っ、と思いつつ エネルギーチャージ 今は何時だ? まだ七時ではないか 開店まで四時間もある……… なら、ラーメンの話をしよう ラーメンの詩だ 今は何時だ? 詩を書き始めて十分しか経っていない おお、ラーメンの神よ 僕にラーメンを与えください そうでないと…… 今は何時だ? 今は何時だ? 今は……
今日はどうやら冷え込むそうですよ 「寒い」と言えば その文字が 氷になって頭へ落ちて来ます 注意してくださいね 六十年に一度 太陽系もびっくりの超大寒です 繰り返しますが 言葉が凍ってしまうくらい 寒くなってしまうので 外へお出かけの時は くれぐれもご注意ください でも、嬉しいこともあり 言葉が凍ってしまうのですから 雪の上に言葉をどんどん落とし 詩を完成することができます ただ言葉を発したら すぐに氷を避けないといけません わりと落ちるタイミングが早いのです 題名は大きな声で言います すると大きな文字が落ちてきます あとは詩を朗読しながら 言葉を落とし行や連の間隔を見て 原稿用紙に書くように 文字を落としてゆきます そして、高台から作品を展望すると 壮大な作品が出来上がって 胸を躍らせるのです さあ、お試しあれ 素晴らしい一日となりますよ
夕暮れのラッキー 真っ赤な太陽に うわっ と、瞳を大きくする 場所と時間を合わせれば そりゃ、素敵に出会えるさ でも僕は偶然のラッキーに とても喜びを感じる ラッキーは 生きていてよかったがある わかりやすい幸せ たまたま その時に君を見つけ 手を繋いだラッキーに ふたりが真っ赤に染まる 最高のラッキー!
動くLED電光掲示板 繰り返すオススメの文句 一向に進まない世界に 通り過ぎてはため息をついて あなたは心が揺れることに 強くありませんから 昨日と違う今日と思い込んで 私のマンネリズムも勘違いされて ところで 上手に歩いていますか 上手に存在していますか 飽きもせず自分をしていますか あなた自身を繰り返し 変わるのではなく 足し算することの方が多いのです さあ明日もお会いしましょう 私と同じようになぞる板で 滑りながら繰り返して
溺れやしない 安心の浅瀬が続いて 僕らは手を離さずに歩く 伝えたい言葉すら 忘れてしまうくらい素敵で 君の描いた絵を進みながら 僕は幸せを噛みしめ 想い出の涙に揺れている ゲンジツ・ハ・スデ・ニ・ユメノナカ マドロム・ハ・イマ・ヲ・ウミノナカ ケド・ムジョウ ソレ・ハ・ムジョウ サメル・ムジョウ 到達してゆく 儚き果てある床(とこ) ユメ・ハ・スデ・ニ・シニハジメ ウミ・ハ・ドコ・二・キエテユク 幻で堅めた君の抜け殻は いとも容易く哀れに埋もれてしまう ただシーツを握りしめていた手 繋いでいたはずの救いは虚しく 冷たく平らであるだけで
昔から犬猫になぜか好かれる だから膝の上に猫をのせていると なんで、お父さんばっかり と、家族にやきもちを焼かれてしまう 学生の頃 学童保育でバイトをしていた時 今日は団地の学童へ行ってください と、言われ初めてそこへ向かった 建物の横には鎖に繋がれた犬がいて 近寄ると懐いてくれて 撫でると気持ち良さそうにしていた すると、部屋の中から 学童保育の先生が出てきて あらっ、驚いた ケンが吠えないなんて初めて そんなこともあるのね と、言われたこともあった 確かに配達のおじさんには メチャクチャ吠えていた 十五年飼っていた犬とも いつも同じ部屋で寝ていたし その前にいた猫も 私のそばにいることが多かった ひとにはそんなに 好かれた記憶がないが どうも犬猫には好かれるみたいだ 私の何が犬猫に好かれるのだろう 言葉にしてくれたら きっと新しい発見があるだろうけど 知らないほうが良いのかもしれない 体臭が好まれるとか 聞かないほうが良いことかもしれない そして、今も猫二匹が 私に纏わりつき 気持ち良さそう寝ているのだから こりゃこりゃ、幸せなことだなあ と、この詩を書いている