『クライマーズ・ハイ』の著者横山秀夫が、群馬の上毛新聞の記者であったことは、ファンであれば承知の事実です。
新聞社の組織構造、真の報道とは何かを考えさせられた一冊でしたが、この『虚報』も、同じ新聞記者出身である<堂場瞬一>の力作です。
大学教授<上山>の自殺サイトがきっかけで、集団自殺事件が起こり、真相を求めて古参の記者<市川>と新人の<長妻>二人を中心に据え、新聞業界の内部組織、雑誌との取材合戦、記者の資質等、現場の経験者でないと感じ取れないリアリティー感を足場に、緻密に構成された人間ドラマが展開していきます。
<上山>自身、「自殺ではない自死だ」という重みのある言葉とともに、年間3万人を超す自殺者の現状を改めて考えさせられる内容でした。自殺した彼らの報道は、新聞に載ることさえありません。
事件性のある時にだけ、自殺問題を取り上げるマスコミの報道姿勢そのものも、考え直さなければいけないと感じさせてくれる一冊です。
「今年の読書」も114冊目ですが、ベスト5に入る候補作品として、挙げておきたいとおもいます。
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Posted at 2012-10-12 22:14
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Posted at 2012-10-13 10:15
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