著者は、韓国の作家として数多くの文学賞を受賞されている作家で、2008年7月31日肺がんにて68歳で死去されていますが、死後に大韓民国より「金冠文化勲章」が授与されています。
表題の二編は、共に1985年に発表された作品で、2010年8月に菁柿堂から刊行されました。
『隠れた指』は朝鮮戦争最中を舞台に、三姓里に住む幼馴染の<東準>と<顯千>が青色党員(南側)と黒色党員(北側)とに思想的に分かれ、<顯千>は<東準>に対する妬みを政治的問題に置き換えて、相手側の裏切り者を「指さし」させて処刑するという残忍な行為を行わせます。
<東準>は監禁の身から逃げ出し、なんとか無事に青色部隊と合流、故郷の三姓里に黒色党員の制圧に向かい、今度は<顯千>に対して同じ「指さし」行為をさせるのですが、<顯千>は自ら指を切断していて「指さし」行為をできなくしていました。
戦争という人間の理性が失われる状況下で、告発や裏切り、策略と陰謀が絡まり合い、またそれらに無関心な村人たちが描かれていて、とても重たい内容です。
残念ながら翻訳者の文体は、隊長や部下といった上下関係があやふやな感じを覚え、また戦争下の会話にしては穏やか過ぎ、原作文は読みこなせませんが、訳文は読みやすいとは言えません。
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Posted at 2013-04-16 03:03
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Posted at 2013-04-16 14:51
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