7話の短篇が収録されていますが、タイトル通り探偵役として登場するのは、「櫃洗(ひつあらい)市役所市民サービス課臨時出張所」と張り紙された場所に座る、両腕に黒い<腕貫>をした奇妙な男で、名前はありません。 大学内や病院、さびれた商店街の一角、警察署等、奇抜な場所に現れ、悩める市民たちの謎に助言を与え、時間がくれば「はい、次の方」と話しを途中で終わらせ、解決は相談者側にゆだねるという形で物語は進んでいきます。 みずから現場に出向くことなく、相談された内容だけで安楽椅子探偵よろしく謎を解明、ユーモアにあふれたミステリーが楽しめる一冊でした。