今年の読書(72)『叫びと祈り』梓崎優(創元推理文庫)
May
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主人公は国際動向を分析する雑誌を発行する会社に勤めている<斉木>で、7か国語を喋れるということで、世界各地に派遣されますが、その派遣先で殺人事件やミステリーじみた出来事に遭遇してしまいます。
サハラ砂漠に残る塩の道の取材中の殺人事件、友人の失恋物語にまつわるスペインでの出来事、ウクライナに隣接する南ロシアの丘陵地に立つ修道所での殺人事件、アマゾンの先住民の部落で発生した伝染病、そして<斉木>自らの身に起こるアクシデント等、読者を功名なな語り口で引き込んでいきます。
巻頭に納められた『砂漠を走る船の道』は、「第5回ミステリーズ!新人賞」(2008年度)受賞作品で、本書はデビュー単行本の文庫本ということで手にしてみましたが、物語性を主軸に据えたミステリーの覆面作家として今後の活躍が楽しみです。