主人公<サナ>は、入院中の母<サラ>から「私が死んだら、ある人に知らせてほしい」との遺言通り、その相手<シイナ>が住むと教えられた「卵町」に会社を辞めて出向きます。
「卵町」は名称通り楕円形をしており、町の中は終末期を迎えた患者のための医療施設と、その従業員たちが静かに住んでいました。
個人情報の守秘義務が徹底されており<シイナ>の情報が判明せず、<サナ>は<シイナ>のことを探すために、女家主<スミ>のアパートに腰を落ち着けます。
散歩中に彫刻家の<エイキ>やその友達の<クウ>と知り合い、<クウ>の妻が昔お世話になった介護士が<シイナ>だとわかり、無事に母の遺言通り対面することができます。
いまはカウンセラーになっている<シイナ>から、看護師として働いていた母の過去を知り、わだかまりのあった母に対する気持ちが薄らいでいきます。
生命力あふれる<卵>という隠喩を用い、生と死をファンタジーの世界に取り込んだ一冊でした。
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