今年の読書(83)『東京湾海中高校』青柳碧人(講談社文庫)
Jun
16
海流発電とシーコンクリートの技術の実用化の実験的な都市として海中都市が作られ、高校2年生の<木口夏波>は、海中都市で生まれ育ち、自分の故郷として愛情を持ちながら高校生活を楽しんでいました。
ある日エコと考えられていた海流発電が、東北沿岸の漁業に悪影響を出しているとの報道があり、<夏波>は信じたくなく、1年先輩の秀才<牧村光次郎>に問うと、それだけではなくイネ科の「ベアット」から採れるバイオエタノール「ベアトール」の残留物質が、海中都市の要であるシーコンクリートを溶かしていると教えられます。
本書は<夏波>の高校時代の話と、10年後に化学教師になっている<牧村>を校内新聞の記事のためにインタビューする<三原亜紀>との昔話で構成されており、先輩<牧村>に対する<夏波>の淡い恋心と、当時を追憶する<枚村>の想い出話しが交互に語られていきます。