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神戸:ファルコンの散歩メモ

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『いつかX橋で』熊谷達也(新潮文庫)

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『いつかX橋で』熊谷達也(新潮...
終戦まじかに仙台を襲った空襲で17歳の<土屋祐輔>は母親と妹を亡くし、亡骸を火葬場に運んだ際、荼毘をするかわりに<赤間>に焼き場の手伝いをさせられます。
連日の作業の中、<武山淑子>が母親の遺体を探しに来ていましたが、どことなく魅かれた<祐輔>は、見つかったら連絡するということで<淑子>の連絡先を書きとめました。

火葬場を逃げ出した<祐輔>は仙台駅前で靴磨きの仕事を始めますが、そこで同い年の特攻崩れの<澤崎彰太>と知り合います。何かにつけて優等生の<祐輔>と愚連隊としてのし上がる<彰太>の生き様は正反対ですが、お互いに反発しあいながらも、通称「X橋」(宮城野橋)に大きな虹を掛ける夢をお互いに誓い合います。

<祐輔>はある日、警察の闇の女(パンパン)狩りから逃れた女を助けようとしますと、それは偶然にも<淑子>でしたが、彼女はアメリカ兵の「オンリーワン」と言う立場で生活をしていました。(短篇集 『懐郷』 に納められている、『X橋にガール』を思い出しました)

憧れの女性<淑子>との再生を願い奮闘する<祐輔>、ヤクザな道に大きく足を踏み入れた<彰太>の二人の青年の生き様が見事に描かれ、仙台市の戦後の一ページを飾るともいえる一冊でした。
#エッセイ #コラム #本 #詩 #読書

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