著者の作品としては、『星々たち』と読み、気になる作家の一人として、本書を手に取りました。
遺体を風にさらし風化させる葬制が「風葬」ですが、一読して、タイトルと内容が素直に結びつきませんでした。
冒頭、新しく赴任した中学校の入学式に欠席した生徒<佐々木彩子>の家を訪問する担任の描写から始まりますが、のちの伏線として教師名が明かされてはいません。
書道教室をいとなんでいる<篠塚夏記>は、認知症の傾向がある母<春江>がつぶやく「ルイカミサキ」という地名が気になり、自分の出生と関連しているのではないかと感じとります。ある日新聞の短歌欄で「涙香岬」という言葉を見つけ、作者<沢井徳一>に連絡を取ります。
<徳一>は、快く<夏記>を現地に案内しますが、<夏記>に、<彩子>の面影をみいだします。<徳一>こそが、入学式当日に家庭訪問をした教師でした。
ソ連の拿捕事件、ソ連マフィアとの絡み、港町の遊郭など、北海道ならではの社会背景と昭和の時代背景を含ませながら、登場するそれぞれの親子関係が複雑に絡ませた秀逸な物語でした。
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Posted at 2016-12-13 03:20
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Posted at 2016-12-13 03:48
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