< 保護対象となる動植物175種の一例 >
生態系保全に向けて神戸市が昨年10月に制定した条例が、気になっていましたが、各方面から疑問の声が出てきているようです。条例は希少野生動植物種の捕獲や採取などを禁じ、教育や調査研究目的で市長が認める場合のみ、捕獲などが可能と規定。市は「市民の自由な活動を規制する趣旨ではない」とするが、自然保護活動に携わる人たちは昆虫採集などがやりにくくなる可能性を指摘し、「調査や記録が不十分になり、かえって保全の妨げになるのでは」と疑問の声を上げています。
近年は宅地開発などによる生息場所の縮小や乱獲などで希少種が減少。同市はそれを市民に伝え、生態系を守る目的で「生物多様性保全条例」を定めた。条例には希少種保全のほか、外来種による被害防止や市民との協働による保全活動推進なども盛りこまれています。
昨年末には条例を補完する施行規則の案を公開。絶滅の恐れがあるとして、神戸版レッドリスト2015のAランクに指定されている「ギフチョウ」、「ユキワリイチゲ」など全175種を、条例が定める「希少野生動植物種」と指定しています。条例は6月に施行される予定で、以降はこの175種の採取には原則、市長の認可が必要になります。
これに対し、子どもらがうっかり希少種を捕獲する場合もある。活動のたびに市長の許可が必要となれば関係者の負担が増し、市民が生き物と触れ合う機会を遠ざけてしまう」と懸念しています。
また、生物の分布データは愛好家らの採集活動に頼るところが大きく、「条例が規定通りに運用されると、新たなデータが集まりにくくなる恐れがあるとの指摘もあります。
さらに、捕獲などの禁止対象をAランク全種類とすることについては「あまりに機械的で、国や都道府県レベルでも例がない」と指摘。
「まずは保護、保全が特に急がれる種を市が選定し、その実態と保全の具体例を市民に知らせることが急務のように思えます。
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