幕末から明治初年にかけて活躍した<河鍋暁斎>(1831(天保2)年5月18日~1889(明治22)年4月26日)は、幅広い画業で知られています。<歌川国芳>から浮世絵を学び、また狩野派にも入門し伝統的な官学派の絵画を学ぶ経歴を持つ<暁斎>は、当時の画家や日本に滞在・居住していた外国人との交流のみならず、寺院や神社、版元・出版社、料亭や老舗商店、能や歌舞伎といった広範囲にわたる人たちとの交友・受注関係を培いながら多様な作品世界を展開しました。
彼らとの親交のなかで<暁斎>は時代の状況を敏感に感じ取り、時に体制批判の精神を研ぎ澄まし、また一方で日本的な人間・自然観、身体観、死生観といったテーマを独自の視線で掘り下げ、屏風や掛軸、巻物や画帖といった無数の作品を作り上げました。
同展では、<暁斎>の多様な作品群を紹介しながら、「写生帖」や「日記」、「下絵」や「画稿」なども展観し、<暁斎>の「眼」、すなわち見る、捉える、表現するといった制作の様相を企画の照準に据えます。一方で、幕末明治の表現を検証する手がかりとしての「ネットワーク」というキーワードのもと、暁斎が手がけた錦絵や挿絵本、工芸作品なども含めて展観します。
すなわち、<暁斎>の創造力と時代のネットワークを合わせ鏡のように考察することによって、同展は<暁斎。の作家・作品像を再検証し、その時代的、芸術的意義を問います。明治中期には<アーネスト・フェノロサ>や<岡倉天心>によって西洋近代主義的芸術論が定着します。その観念中心主義のジャンル論によって、「日本画」、「洋画」、「版画」といった分野、そして様式による時代区分も形成されていきます。同展は、移植によってつくられたジャンルも、江戸や明治という時代区分も軽々と横断する<河鍋暁斎>の真価を浮き彫りにします。※会期中、展示替えあり前期:4月6日(土)~4月29日(月・祝) 後期:4月30日(火・休)~5月19日(日)
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