今年の読書(61)『錯迷』堂場瞬一(小学館文庫)
Nov
30
神奈川県警捜査一課生え抜きのエリート46歳<萩原哲郎>警視に突然、鎌倉南署に署長としての移動命令が出されました。前任者の女性署長<桜庭里佳子>が「心不全」という突然死でなくなり、報告等の経過が不自然で、自殺ではないかという噂もあり、<萩原>に潜入捜査が任されます。
突然の署長職、協力者もいない孤立無援の中、<萩原>は署員たちに秘密裏に捜査を進めますが、刑事課の新人刑事<尾崎夏見>が面会を求めてきますが、肝心の話は聞き出せません。
そんな折、管内で殺人事件が発生。それは、5年前に管内で憩った未解決事件へとつながっていき、<桜庭>所長の自殺の原因へと関連していきます
詠みなれた読者は、途中で殺人犯の予測ができるのですが、正義を貫く警察署内において、隠蔽された事実とは何か、所長という組織トップの孤独と葛藤、警察組織による肩書について回る人間関係が楽しめた一冊でした。
新人の<小関夏美>刑事が、鎌倉南署の再生に希望を持たせるエンディングで、またどこかの作品で登場してくる人物だと堂場ファンとしては予測しています。