『ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ』@<リー・ダニエルズ>監督
Feb
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地上にひとつしかないと称えられた歌声で肌の色や身分の違いを超えて当時の人々を魅了し、没後60年以上経っても、その強烈なカリスマ性が現代のアーティスト達に影響を与え続けている<ビリー・ホリデイ>は、人種差別を告発する『奇妙な果実』を歌い続け執拗にFBIに長きに渡り追い続けられました。本作は、<ビリー・ホリデイ>の短くも壮絶な人生をFBIとの対決に焦点を当てて描いています。
<ビリー・ホリデイ>を演じる歌手の<アンドラ・デイ>は、映画初出演ながら、そのズバ抜けた歌唱力で名曲の数々を<ビリー・ホリデイ>が憑依したかのように歌い上げ、彼女のパワフルかつ美しい生き様を体現した演技で観る者全ての胸を打ち、「第78回ゴールデングローブ賞」主演女優賞(ドラマ部門)を受賞、「第93回アカデミー賞」主演女優賞ノミネートを果たしています。
解禁された本編映像は、<ビリー・ホリデイ>が合衆国から危険視されていたことがわかる本編の中でも非常に象徴的なシーンです。1947年フィラデルフィアのアール劇場、満員の会場に警察が並び構える異様な光景から始まります。緊張感漂う重々しい空気の中、「ビリー・ホリデイ」(アンドラ・デイ)がステージに立つと会場は一気に拍手と歓声に包まれます。「ビリー」が『奇妙な果実』を歌いだしたその時、警官が「やめさせろ」と動き始めます。歌うことを止められていた夫の「モンロー」を一瞥しながらも歌い続けようとした「ビリー」でしたが、「逃げるぞ」とバンドメンバーに抱えられ、ステージを降ろされます。
このシーンは、観客にも多くの白人がおり、<ビリー・ホリデイ>が歌う『奇妙な果実』が肌の色や身分の違いを超えていかに人々を魅了していたか、そしていかに合衆国から危険視されていたかがわかる本作の中でも非常に象徴的なシーンになっています。