<桜木紫乃>の前作
『ブルース』(2014年12月刊)では、「影山博人」という一人の男に対して8人の女が繰り広げる物語でしたが、その続編となる本書『ブルースRed』は、2021年9月に単行本が刊行され、2024年8月10日に文庫本が発売されています。
小気味よい文体で好きな作家でもあり、場面の展開描写も早いのですが、登場人物たちの性格描写も秀逸で、
『家族じまい』以来いつもながらの紫乃ワールドに浸れました。
釧路の街を、裏社会から牛耳る「影山莉菜」は、亡父「影山博人」の血をひく青年「武博」を後継者として育て、官僚から代議士への道を歩ませようとしていました。
「男と違って、女のワルには、できないことがない」という亡き父「博人」の言葉を胸に、「武博」の成長を楽しみにして生きていました。
無事に「武博」を衆議院議員として当選させ、幹事長の娘との婚約も調うのですが、「影山莉菜」は、「武博」親子の裏切りに合い、釧路の街を出てしまいます。流れ着いた先で見つけた人生の結末まで、一気に読ませる構成は、さすがでした。