無人島のクリスマス 風紋
冬の沖縄は冷たい北風が吹き、南国ムードはない。
冬の沖縄無人島でのキャンプは、意外とストイックなものなのだ。
そんなクリスマスもいいもんだ。
男3人だけの無人島。
強い北風が、砂浜に風紋を残していた。
僕に文句を言うな。
暖かい冬に文句を言うべきだ。
平和に乾杯!
今週は雨が続いた。
明日の日曜日も、雨の予報。
ところが、今日(土曜)はすこぶるいい天気ではないか!
早朝より登山靴を用意して山へ向かった。
摩耶山の手前で、徳川道を外れて寄り道をしてみる。
腰まである笹藪を掻き分けながら進むと、始めて見るシェール道に行き着いた。
シェール道の先にあるのが、写真の穂高湖だ。
ひっそりとした湖は、この時期、魚や昆虫などの生物の気配がない。
泡も立たない湖面と森林が一体化していた。
ウィンドブレーカーもフリースも装着せずに、駆け足で3時間連続の山行。
今日もたっぷりと汗をかいた。
冬といえば、海に向かうのがREBECCAヨットクラブ。
船長はサバニのレースで、春から夏まで忙しい。
クルーも、暖かいシーズンはヨットレースで忙しい。
となると、皆が集まれるのは、真冬の洋上というわけだ。
この週末は、連日海の上にREBECCAを浮かべた。
土曜日は前線の通過があり、日曜日は完全な冬型の天候だった。
腰の強い北西の風が吹き続ける。
時より大きなうねりが押し寄せる。
うねりの中で限界まで傾き、風上を向こうとする船体の舵を強引に引き寄せる。
相変わらず風邪が治らないが、なんだかとてつもなく寒いところに行きたくなってきた。
今回の沖縄滞在の時間切れだ。
この次の調査で、さらなる事実が見つかることを願って、沖縄を後にした。
理想のサバニを探すために、僕らも真剣だ。
サバニの建造では、材料の入手も重要なポイントになるのだ。
まずは、個人で博物館【海人工房】を運営する上原氏を訪ねた。
この中には、古式サバニに関する資料があふれている。
古いビデオを見せてもらいながら、古式のエーク(櫂)、ユートイ(垢汲み)などの説明を受ける。
ハーリーで有名な糸満と言う土地柄なのか、糸満のプライドを強く感じる。
見たい映像は貸し出し中で見れなかったが、たくさんの貴重な資料を見せていただいた。
また、こうとも教えてくれた。
「昔の舟は、帆柱を立てただけでひっくり返った。だから昔は膝を付いてバランスを取っていた。」
ニヌハ2はアウトリガーを外すと、帆柱を立てただけでひっくり返る。
これは、軽量化しすぎたためと解釈していた。
しかしそれは、サバニの由緒正しい姿だったのだ。
さらに驚いたことは、舟の先端に2本目の帆柱を立てる用意があったことだ。
それは、まさにニヌハ1に装着され、レギュレーション違反とされた構造だった。
「昔は、付いていたよ」
このおじいの中には、膨大な知識がある。
もっと語ってくれ。
コードを繋げてダウンロードできないものか?
完全な継承者はまだ存在しない。
ならば、物で残すしかないのだろうか?
おじいに仕事を依頼したいが、材料は切り出して、乾燥するまで1年はかかる。
時間の波に消えようとしている貴重な歴史を、継承する方法を考えよう。
制限時間は、長くない。