公園の鉄棒は歩き出し 夢に縛られた僕は手も出せず ズルズルと涙を流せば どこまでも繋がってゆく他所の川 おい待てよ 準備体操は念入りにして 一等賞で両手を振ろうとしたのに ブラブラテープは飛んでゆく 乗っ取られた公園は斜めに傾き ブランコはどこで止まればよいのか 困ってしまいクルクル回って 鎖は僕の首に絡まってしまう だんだん気持ちよくなるのは 使い切る快感を教える先生 自由な時間を音符にして さっさと授業を終えて伝書鳩に ご馳走を与えようと砂場が風になる 空からは大きな燃えるゴミ用の袋 パコンっと公園を丸めて 僕の頭の中に捨てて 滑り台がリボンになり デパートの店頭に並んだ 僕を買ってください お安くしますから そう叫けぶことのできた僕は おどおどしながら溶けて雛形に流れ 滑稽な顔が仕上がりました
僕らは生まれ時から 戦う法則のもとに飛ぼうとする 重力を知ることから戦いは始まる 情緒の浮き沈みという繋がりから離れ 個として得体の知れない世界で両手をバタバタさせて 必死に飛ぼうとしなければ 地球の重力に吸い込まれてしまう すでに今の僕は 膝あたりまでアスファルトに埋もれ 僕らは反骨遺伝子に正直であり 吸い込みの流動に抵抗 自分の中にある違和感を払拭し続ける生き物 さあ 叫べ さあ 飛べ 忘れてはいけない 最後まで戦うことを 僕らは重力に勝つために生まれて来た カラダが地球に埋もれ アスファルトから唇だけを出していても 空に向かって笑え 僕らは生まれた時から 戦う法則のもとに飛ぼうとする
地球が回っても 僕らは振り飛ばされることなく 特殊相対性理論に則り ズレズレの時間に踊っている とは言うものの 僕らは踊らされているのかも だって、マーフィーの法則に従い ズッコケて生きてしまうから 可能性のあるところ 数パーセントの確率があれば 轍にだって嵌ってしまうんだから どうしよう ああ、どうしよう なんて思うものなら 嫌な可能性は両手を広げ始める 惨めな結果を見たいように 漏斗に滑り落ちるように 僕の非社会的な隠れた価値観に ああ、反応してしまって 轍は円柱に 抜けれない不安を維持 外にある大きな拒絶の存在を知る まあ、それでもヘナヘナ笑って 違和感を楽しんでしまう やはり僕の脳みそは 特殊存在性理論のへばり付きが ズバ抜けて素晴らしくなっている
世間からしてみれば 小さいことであろうとも 自分にとって喜ばしいことがあれば 朝起きたときの体の重さが違う 昨日の朝はどうしようもなく やる気のない重みを引きずって 最悪だ、なんて呟き 膝をカックンカックンさせ 歩いているようだった それに比べてどうなんだい今朝は 間に合いそうもない電車へ走り 乗ってしまうんだから 一通の手紙で元気をもらえるものだ 人生山あり谷あり なんて言うけど 日々に山あり谷ありだ サイクルは細やにアップダウン こんな私のために ひとが時間を費やす思いやり それをいただく喜びに 今朝は頂上からの景色が頗るよい 感謝を忘れるなよ、自分 お前はひとりじゃないじゃないか 頑張れ自分
それでも あなたの前では わたしらしいのかも 流れるまま こころを揺らし たどり着いたのは 虚しく汚れた天井の下 日々を濁すために カラダを揺らすあなた そこには愛なんてないけれど 寂しさを紛らすかのように わたしのカラダも揺れる あなたはひとつ唸って わたしはひとつため息 想い出したように 紙でひこうきを折るあなた 飛ばずに落ちる空っぽの音 ふたりの刹那な微笑み だれも欲しがらぬような幸 それでも わたしらしいのかも それでも わたしらしいのかも それでも
君は詩を書いているんだって それってどこへ向かっているんだい 自分が向かう場所がさぞ大層なところのように 違和感ビンビンの男は言う 訊いてみれば会社に貢献して 自分が部長に昇進するとかいう話だ 幸せを考えた時 男の価値観はそこにあるのだから 私がとやかく言うことではない でも、それってどこに向かっているのだろう あなたこそ、どこへ向かっているんですか ああ、ついつい訊いてしまった そりゃ、行けるとこまで行くさ 上へ上へ邁進するだけだよ もっと上からの景色を見てみたいね はあ、そうですか では、仕事が楽しいのですね バカ言え 仕事が楽しい訳がない 切磋琢磨しながらの戦いだよ 君は社会の厳しさを知らないね そんな詩なんて書いていると どんどん下へ下へと落ちて行くぞ はあ、そうですか では、上は幸せなのですね 当たり前だ 最高の幸せに決まっているじゃないか さっきから君はつまらないことばかり訊くね そんな暇があったら勉強して 良い会社へ就職しようと思わないのかね はあ、私もあなたと同じように 幸せへ向かうために詩を書いているんですよ 君はどうしようもない男だな さっさと消えたまえ すみませんがこのトイレ 掃除させてもらいませんか ああ、そうだったな 手を抜かずに綺麗にしておけよ 了解です
一字のエラーに悔しさが膨張 不完全な詩はすべてを壊してしまうように 俺の器はエラーにクヨクヨする 後戻りできない時間 あれだけ読み込んだという言い訳 これからどう過ごせばいいんだ 重い重い朝はすでに頭痛がして 自己陶酔に影が潜み この時を待っていたかのように笑う 書けている その満足を捨て去らなければ この爆弾はすぐ表に出てきては 爆発をしてしまう 書けていない 満足できない満足を持ち続け これからは打ち込んで行くしかない 忘れるな達成感より懐疑 一字の痛恨のエラーに野次が飛び ごめんなさい と 頭を下げることから始め 自分という作品を仕上げるように 精進して行かなければ
交じり合わない視線は 立っている場所を教える 通り過ぎる風は破顔を見せ 冷やしてゆくこの身体 着込んでいても 外気は弱気にさせる 寒さに身震いをすれば 孤独な人間が温もりを夢みて 寂しがりやの自由は不安定 やはりこの列に並ぶ ホームに連なる戦士たち 踠く心拍を熱に変えながら 白い息の狼煙を上げる 背を押され乗り込む電車 殺気はガラスの結露となり 舌打ちが聞こえれば 我が身はなお冷え込むが それでも今日の戦いが始まる