大正初年に建てられた古い洋館を購入した主が、天井裏にある木箱を開けますと、江戸時代に書かれた小間物屋の女房<葛>の日記を、以前の主が現代訳したもを発見します。
それが、この『浮世女房洒落日記』です。
江戸時代の庶民の生活や風習を、一月(睦月)から十二月(師走)の一年を通して描かれており、主人の<辰三>や奉公人も<清さん>、おなじ長屋の住人たちとの喜怒哀楽が、落語調の洒脱な文体で書かれています。
植物好きとしては、当時は、花見や夏の朝顔、菊見や紅葉狩りなど四季の移り変わりを楽しむ生活が自然と密着しているのを、羨ましく感じました。
「サンシキスミレ」のことを「遊蝶花」、<(鏡を)木賊(トクサ) で丹念に磨いてゆく>、<椋の木の皮を煎じた汁で髪をすすいだら>、<(髪を)胡桃油をつけて結い直す>、<重陽の節句。菊酒を飲む>等、いまでは忘れ去られたエコな生活が心に残ります。
普段使用しなくなった当時の言葉などがふんだんに取り入れられていますので、時代小説好きとしても、これは一読の価値十分の一冊でした。
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Posted at 2013-01-15 15:42
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Posted at 2013-01-16 04:45
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