緻密な筋立てを組み、縦糸・横糸の伏線を張りながらどんでん返しという構成の推理小説は大好きな部類で、著者の素晴らしい力量に感心します。
また、膨大な資料を史実として検証した上で、その隙間をつなぎ合わせ想像力を駆使したであろう時代小説も、これまた大好きな分野です。
この『写楽残像』はまさに後者の部類で、久々に読みながら唸っておりました。
<蔦屋重三郎>は、山東京伝や朋誠堂喜三ニらの黄表紙・洒落本の出版をはじめ、喜多川歌麿や東洲斎写楽などの浮世絵を世に出した版元で、前半は主人公である<銀冶>の祖父<蔦屋重三郎>の活躍が丹念に描かれています。
<蔦屋>と親交のあった太田南畝、十返舎一九、曲亭馬琴などの周辺人物が生き生きと描かれた有名人が登場する文人小説であり、また謎の絵師写楽の謎に迫る歴史小説でもあり、また<銀冶>の仲間の<弥吉>の無罪を明かすミステリーな要素もありと、読み応えのある一冊でした。
<銀冶>は<蔦屋>を弟に譲り、自らは「蝶」の意匠を扱う「胡蝶屋」を開店するところまでで終わりますが、この先の展開が楽しみでなりません。
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Posted at 2013-02-05 14:46
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Posted at 2013-02-05 23:58
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