昨年読みました 『暗渠の宿』 の自虐的な文章が強く印象に残っていますが、さらに赤裸々な生活を描いた『焼却炉行き赤ん坊』・『小銭をかぞえる』の2編の小説が収められています。
『焼却炉行き赤ん坊』は、暴力的な態度で女と接してきた主人公が、ようやく見つけた中華料理屋のウエイトレスとの同棲生活の状況を、あくまでも主人公の目線で書き連ね、女と金を巡る退廃的な日常生活を、二人の会話の中で浮き彫りにさらしています。
『小銭をかぞえる』は、主人公が師と仰ぐ作家・故<藤澤淸造>の全集発刊をライフワークと考えていながら、女の実家からの借り入れた300万も使い果たし、印刷会社の支払いに奔走する姿が描かれています。
どちらの作品も粘り気のある重たい文体ながら、行間に哀愁がにじみ出ており、反面おかしさを感じさせてくれるほど悲惨な生きざまが、心に残ります。
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Posted at 2013-07-16 07:19
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Posted at 2013-07-16 22:29
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