『日無坂』安住洋子(新潮文庫)
Dec
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ある日偶然に<伊佐次>が見かけた父<利兵衛>は元気がなく、気になりながらも声をかけずに通り過ぎた翌日、父は大川で水死体となり発見されます。
事故か事件かわからないまま、葬儀の当日「鳳仙堂」に10年ぶりに出向いた際、店を継いでいる弟<栄次郎>から「龍氣散」なる薬を「天命堂」から押し付けられていることを知り、父の死の原因ではないかと動き出します。
父と子、兄と弟、面倒を見てくれている貸元の<弥平>のかかわりを通して、己の人生を見つめ直す<伊佐次>の心の機微が、鮮やかに描かれている一冊でした。