主人公南町奉行の同心<尾上源蔵>は、人呼んで「神鳴り源蔵」と呼ばれる切れ者です。
<お清>をはじめ歳の似通った町娘が、武家屋敷に奉公との名目で姿を消してゆくのを不思議に思った<源蔵>の手下の<竜吉>は、仲間の<六助>と娘を乗せた駕籠を追うのですが、見失った上に<六助>までもが消息を絶ってしまいます。
岡っ引きの<文太>共々、<竜吉>は<六助>が消えたであろう武家屋敷を探ってゆく中で、大名川東筑前守の屋敷にて側室の<お千佳>が妊娠、正室側の陰謀で、世継ぎ争いに町娘たちが身代わりとして巻き添えになっていることを知り、正義感よろしく大名家に立ち向かっていきます。
筋書き自体は時代劇によくある世継ぎ騒動ですが、「神鳴り源蔵」の小気味よい行動が、これまた時代小説として楽しめる一冊でした。