『今朝の春』<みをつくし料理帖>髙田郁(ハルキ文庫)
Sep
18
どのシリーズも4話の話で構成されており、四季の移ろいと共に<澪>の旬の料理が楽しめます。
店の常連客の戯作者<清右衛門>が、吉原遊郭の<あさひ太夫>の題材にした戯作を書くということで、隠密に翁屋に出向きますが、<あさひ太夫(野江)>と幼馴染の<澪>は、店内で行われる版元の「坂村堂」との会話が気が気でありません。
両替商伊勢屋の娘<美緒>の大奥への奉公の噺、<おりょう>の大工の亭主<伊佐三>の浮気話、料亭「登龍桜」との料理対決、身分違いの武士<小松原>への淡い恋心等、本書も神無月から節分までの季節を通し、<澪>の料理人としての成長が見事に描かれていました。