『別れの夜には猫がいる』永嶋恵美(徳間文庫)
Aug
21
主人公は<皆美雛子>、「オフィスCAT」に勤めていて、<あなたの恋人、友だちのカレシ。強奪して差し上げます>のコピーを、ネット広告として出しています。
基本料金は10万円、いわゆる別れ屋ではなくて「泥棒猫」という立場で男女間の問題を解決していきます。
本書には、6篇の短篇が納められていますが、DV男から別れるためや、本当に好きな彼氏の元に戻るため、愛がないのに逃避のためだけに同居している男と別れるためにと、様々な女性が登場してきますが、<皆実>は分かれた後のことまでを考えての手順を踏み、爽やかな結末を見せてくれます。
特に家庭裁判所調査官<浅野洋子>との、フィリピン人の妻と日本人の夫との子供が絡む親権問題は考えさせられましたし、事務所の所員<篠原茜>の過去がわかる本書のタイトルにもなっている章は、読み応えがありました。