今年の読書(74)『黒猫の刹那あるいは卒論指導』森晶麿(ハヤカワ文庫)
May
31
第1巻目では若き24歳の大学教授の<黒猫>とその付き人を務める大学院生の<私>を中心に日常に潜む謎解きが楽しめましたが、本書は<黒猫>と<私>の大学生活時代を舞台に、短篇が6篇納められています。
美学部の学部長である<唐草ゼミ>在籍から博識の<黒猫>と、<エドガ・アラン・ポを卒論とする<私>との関係がよくわかる構成で、<ポオ>の作品を下敷きにして作品に新たなる解釈行いながら、謎解きが進んでいきます。
本書では<唐草学部長>の推薦を受けて、フランスの現代思想の大家<ラテスト教授>の元へ留学するまでの<黒猫>の推理が、冴えわたる一冊でした。