<井伊大老>が暗殺された江戸幕末を舞台に、15歳で元服を済ませた<水谷秀太郎>を主人公に据え、若き武士の心意気を描いた青春小説でした。
ある日<秀太郎>が通う「心厳流」の道場主<杉田格右衛門>が3人の暴漢に襲われ、瀕死の重傷を負います。
<秀太郎>と道場の先輩達とで事件の解明に臨んだ結果、敵対する「高橋道場」が剣術指南役を狙った企みであることを突き止め、相手の道場に談判に出向いていきます。
また<秀太郎>は道場主の娘<凛>に淡い恋心を抱いていますが、自分は長男で家督を継がなければならず、彼女は婿取りで道場を継がなくてはならない立場を理解しているだけに、年頃の男としての悩みも付きません。
<秀太郎>の謹慎中、母<初枝>の「自分が正しいと思ったことは損得など考えずに貫かなくてはならないということです。それができないのならば、素直に両刀を外して武士などやめてしまうべきよね」の言葉は、本書のタイトルに見事に反映されています。
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