本書は、副題に<警視庁捜査一課・貴島柊志>とあるように、殺人事件を捜査するミステリーものです。
冒頭は5歳の少女<里見悦子>の身の回りに起こった姪<アイ>の池での水死事件や、その母親である叔母も同じ池で水死する回想から導入部分は始まります。
忌まわしい事件から17年経った<悦子>は、「日本ミステリー大賞」を受賞、受賞後第一作目の作品『ミラージュ』を発表する寸前、仕事場のマンションの密室で刺殺死体として発見されますが、関係者には皆アリバイが成立しています。
その後<悦子>の原稿担当者の<的場武彦>が突然行方不明になり、<悦子>の母親<里中充子>も自宅で刺殺死体で発見され、事件は複雑さを増していきます。
「鏡」を一つのアイテムとして作品のなかで生かし、読者の推理を導こうとしながらも、最後のどんでん返しの構成が見事で、余韻の残るミステリーでした。
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