今年の読書(29)『異人館画廊』谷瑞恵(集英社文庫)
Mar
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書き出しの部分では舞台となる町の名称も表われず、長崎か横浜なのかが分かりませんでしたが、文中に「諏訪山の展望台」が出てきましたので、神戸が舞台だと分かりました。
7歳のときに誘拐に合い、その恐怖で前後の記憶が定かでない<此花千景>は、祖父母と一緒にイギリスに渡り、画家である祖父の影響で「図像学」の学位を飛び級で18歳で取得、祖父<此花統治郎>が亡くなり、先に帰国している祖母<鈴子>が経営する画廊と紅茶専門の喫茶店を併用する「異人館画廊 Cube」に10年ぶりに帰国してきます。
「異人館画廊 Cube」には、祖母<鈴子>をはじめ、西之宮画廊のオーナー<透磨>や、喫茶店のバイトの<瑠衣>、占い師の<槌島彰>などが集っていました。
<千景>は幼いころの記憶が残っている<透磨>から、美術館から盗まれた<ゴヤ>の絵が日本で発見され、その鑑定を依頼されますが、思わぬ方向に事件は進んでいきます。
絵画に隠された「図像」により、観る人を思わぬ悪の世界に引きずり込むことを伏線として、<千景>の読み解き術が冴える内容の絵画ミステリーが楽しめました。
Posted at 2016-03-06 16:04
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Posted at 2016-03-06 16:11
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