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- 今年の読書(57)『スケープゴート』幸田真音(中公文庫)
主人公<三崎皓湖子>は51歳、36歳で再婚した東都大学大学院の経済学の教授で、経済問題のテレビコメンテーターとして、わかりやすい解説で人気があります。
テレビ番組終了後、テレビ局の役員をしている前夫<八木沢>より、明正党総裁の<山城泰三>を紹介され、勉強会立ち上げの座長としての依頼を受け、経済活性化の立案に奔走します。
その功績を認められ、<山城内閣>の民間人として金融庁の大臣に指名されます。
就任直後、地方銀行の取り付け騒ぎに巻き込まれ、鮮やかな解決策で事なきを得ますが、<山城>から<三崎>は参院選の出馬を要請されます。昔立候補した父親が選挙中に亡くなるという過去を持つ<三崎>は、立候補に躊躇しますが、見事に当選。組閣において官房長官に抜擢されます。
そんなおり、<山崎>が脳梗塞で倒れ、<三崎>は、自分の考える社会保障と財政改革を実現するために総理の椅子につかざるを得なくなります。
ここまでは一人の女性としてのサクセスストリーですが、読み手としては総理の座についてからの<三崎>の手腕が興味のある部分で、『あきんど 絹屋半兵衛』のような壮大な物語を期待していただけに、なんだか消化不良で終わった感が拭えませんでした。
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