<桜木柴乃>の(68) 『霧(ウラル)』 、<佐々木譲>の(69) 『砂の街路樹』 はともに北海道出身の作家ということで北海道の都市を舞台にしていますが、偶然にも本書も北海道を舞台にして物語が展開しますが、著者は、兵庫県明石市の出身です。
仕事中の夫<三上孝一>を家に残し山菜の娘<留美>と公園で遊んでいた<佐和子>は、通り魔に襲われ<留美>は死亡。自らも大けがをしますが、一命は取り留めます。犯人<藤崎>は12人を死傷させましたが心神喪失状態の「総合失調症」とされ、「刑法39条」により裁判を受ける立場にはならず精神病院への入院処置に留まります。
その後<三上>と<佐和子>は離婚、作家業を目指していた<三上>は、ススキノの風俗ライターになり、<佐和子>は地元の不動産会社の社長と再婚します。
ある日<三上>の携帯電話に元妻の<佐和子>から<藤崎>を街中で見たとの連絡があり、それを契機に<佐和子>の行動がおかしくなりはじめます。
<三上>も<藤崎>を目撃し、調べてみますと精神病院から退院しているのがわかり、行動を監視し始めます。
片やピンクサロンに勤める19歳の<ゆき>の客として<藤崎>が登場、<ゆき>に付きまとう男を<藤崎>はまたしても殺害してしまいます。
大きな二つの事件が意外なところで結びつき、驚きの結末まで一気に読ませる構成で、「なるほど」とうならせる一冊でした。
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