<郭偶東>「The Persistence of Chaos(混沌の継続)」
May
31
中国人アーティスト<郭偶東>氏による「The Persistence of Chaos(混沌の継続)」という作品は、美術界に衝撃を与えました。今では旧式となったマイクロソフトのオペレーションシステムWindowsXPを搭載する2008年製造の10インチノートパソコンで、見た目はいたって普通ですが、そのメモリーチップには、過去に大きな被害をもたらした6つのマルウエア、「ILOVEYOU」(2000)、「Sobig」(2003)、「MyDoom」(2004)、「DarkTequila」(2013)、「BlackEnergy」(2015)、そして悪名高いランサムウエア「WannaCry」(2017)が入っています。
シンプルなノートパソコンが全世界にとって脅威となり得ることを強烈に表現した作品です。<郭>氏によると、これら6つのマルウエアは世界中で少なくとも950億ドル(約10兆円)の損害を与えたといいます。
電源は入っていますがネットワークに接続されていない状態のこのノートパソコンの動画がストリーミング配信されています。この状態ならば無害です。しかし、USBメモリーを差し込むといった操作でマルウエアを解き放つことが可能なため、作品の買い手にはそのようなことをしないよう警告されています。
オークションサイトは、この作品は研究目的のためだけのものだと強調し、競売の参加者は全員「マルウエアを拡散させる意図は持たない」ことに同意する契約書に署名したそうです。契約書には「これは生きている危険なマルウエアのサンプルであることに留意してください」と記載されているとか。